お気に入りの靴や、ソファの角、電気コード——気づけばボロボロに。犬が物を噛んでしまうのは、多くの飼い主が一度は通る悩み。困った行動に見えますが、犬にとってはちゃんと理由のある行動で、原因に合わせて対応すれば減らしていけます。しかも、噛む対象によっては誤飲や感電の危険もあるので、放置は禁物。このページでは、犬が物を噛む理由、見過ごせない危険、やめさせる方法、成犬になっても続く場合まで解説します。
犬が物を噛むのはなぜ?
まずは原因を知ることが、解決の第一歩。物を噛む背景には、次のような理由があります。
- 歯の生え変わり…子犬(生後4〜7か月ごろ)は歯茎がむずがゆく、噛んで和らげようとする
- 退屈・運動不足…エネルギーが有り余り、発散のために噛む。留守番の長い犬に多い
- ストレス・不安…留守番中の寂しさや不安を、噛むことで紛らわせている
- 好奇心・遊び…特に子犬は、口で確かめる・遊びの延長で噛む
- 要求…「かまってほしい」と、飼い主の反応を求めて噛むことも
子犬なら成長とともに落ち着くことも多いですが、退屈やストレスが原因の場合は、そこを解消しないと続きます。「なぜ噛むのか」を見極めることが大切です。

お気に入りの靴をかじられたときは、正直がっくり…。でも叱る前に「退屈してたのかな」と考えるようにしてから、対応が変わりました。犬にとっては"困らせよう"ではなく、ちゃんと理由があるんですよね。
放置は危険|誤飲・感電に注意
「そのうち直るだろう」と放っておくと、思わぬ事故につながることがあります。特に気をつけたいのが、次の2つです。
電気コードは感電の危険
とくにこわいのが電気コードです。噛むと感電したり、口の中をやけどしたりする危険があります。もし感電してしまったときは、まずコンセントを抜いてから犬に触れてください(濡れた状態などでは、飼い主も感電する恐れがあります)。そのうえで、すぐ動物病院に連絡を。コードは、カバーをつける・家具の裏に隠すなどで、噛めないようにしておきましょう。
誤飲は「自己判断せず即受診」
噛んでいるうちに、かけら(布・プラスチック・ゴム片など)を飲み込んでしまうことも。誤飲が疑われるときは、症状がなくても自己判断で様子を見ず、すぐ動物病院に連絡して指示を仰ぐのが原則です。特に、ボタン電池・とがった物・ひも状のもの・中毒を起こすもの(タマネギ・チョコ・薬など)は緊急性が高め。水や塩で無理に吐かせるのは、かえって危険なので絶対にやめてください。
物を噛むのをやめさせる方法
ポイントは、噛みたい欲求を"別のもの"で満たしてあげること。噛む行動そのものを叱っても、根本解決にはなりません。
噛んでよいおもちゃを用意する
噛みたい欲求は自然なもの。だから「噛んじゃダメ」と禁じるより、思いきり噛んでよい丈夫なおもちゃを用意して、そちらへ気持ちを向けます。噛んでよいものと、いけないものを、はっきり分けてあげましょう。
噛めない環境をつくる
そもそも噛まれたくない物を、犬の届かない場所に片づける・仕切るのも有効。コードを隠す、靴を下駄箱にしまう、といった環境の工夫で、事故もいたずらも防げます。
運動と刺激で発散させる
退屈やストレスが原因なら、散歩や遊び、知育おもちゃで、エネルギーと気持ちを満たしてあげることが根本対策になります。叱って抑えるより、原因を減らすほうが確実です。強く叱ったり叩いたりは、不安を増やして逆効果になるので避けましょう。

「噛んでいい物」をちゃんと用意してあげるのが、意外と効きます。禁止するばかりでなく、"OKなはけ口"をつくる。人も犬も、我慢だけでは続かないですものね。
成犬になっても噛む・留守番中に噛むとき
歯の生え変わりが終わった成犬になっても物を噛み続ける、あるいは留守番のときだけ激しく噛む——そんなときは、少し掘り下げて考えたいところです。
成犬の噛みは、退屈や運動不足、ストレスが背景のことが多いもの。まずは運動量や生活を見直してみましょう。特に、飼い主がいないときだけ物を壊す・激しく噛む、あわせて吠え続ける・粗相をする、といった様子があるなら、「分離不安」という強い不安が関係していることがあります。この場合、噛むこと自体を止めようとするより、留守番の不安を減らすアプローチが必要です。改善が難しいときは、ドッグトレーナーや獣医師など専門家に相談すると、その子に合った対策が見つかりやすくなります。
まとめ
犬が物を噛むのは、子犬の歯の生え変わり、退屈・運動不足、ストレスや不安、好奇心、要求などが理由です。ただし、電気コードは感電、かけらの飲み込みは誤飲と、放置すると危険な事故につながることも。感電時はコンセントを抜いてから触れて受診、誤飲は自己判断せず即相談が原則です。やめさせるには、噛んでよいおもちゃを用意する・噛めない環境を整える・運動や刺激で発散させるのが基本で、叱るのは逆効果。成犬になっても続く、留守番中だけ激しく噛むといった場合は、運動や生活の見直しを。分離不安が疑われるときは、専門家に相談してみてください。
「犬 物を噛む」についてのFAQ
Q. 犬が家具や靴を噛むのをやめさせるには、どうすればいいですか?
A. ポイントは「噛みたい気持ちを別のもので満たす」こと。丈夫な噛んでよいおもちゃを与え、そちらへ誘導します。あわせて、噛まれたくない物は片づける・仕切るなど環境を整え、退屈やストレスが原因なら運動や知育遊びで発散を。噛む行動を強く叱るのは、不安を増やして逆効果になりやすいので避けましょう。
Q. 電気コードを噛んでいて心配です。危険ですか?
A. はい、危険です。感電や口のやけどにつながります。万一かじって感電したときは、あわてて触らないこと——先にコンセントを抜いてから犬に近づき(濡れていると人も感電します)、動物病院へすぐ連絡してください。予防は"かじれない環境"づくり。配線カバーやコード収納を使い、家具の裏へ通して物理的に届かなくするのが確実です。
Q. 噛んでいた物のかけらを飲み込んだかもしれません。どうすれば?
A. 迷わず動物病院に電話、が正解です。元気そうに見えても、家で"様子見"はしないでください。とくにボタン電池、先のとがった破片、ひも状のもの、中毒を起こす食品(タマネギ・チョコ・薬など)は一刻を争います。市販の知識で塩や水を飲ませて吐かせるのは、かえって体を傷めることがあるので、絶対にやらないでください。
Q. 成犬なのに物を噛みます。子犬の頃の癖ですか?
A. 歯の生え変わりが終わった成犬の噛みは、退屈・運動不足・ストレスが背景のことが多いです。まず運動量や生活を見直しましょう。特に、留守番中だけ激しく噛む・吠える・粗相をするなら、分離不安が関係していることも。その場合は噛みを止めるより不安を減らす対応が必要なので、専門家に相談するのがおすすめです。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。