寝る前にベッドや布団を前足でホリホリ、フローリングを一生懸命カリカリ……犬のこの「穴掘り」のようなしぐさ、かわいいけれど「どうして?」と気になりますよね。実はこの行動には、祖先から受け継いだ本能や、その場の気持ちなど、いくつかの理由が隠れています。このページでは、犬が床や布団を掘る理由、寝る前にホリホリする意味、やめさせるべきかどうか、そして注意したいケースまで、やさしく解説します。
犬が床や布団を掘る主な理由
掘るしぐさの背景には、複数の気持ちや本能があります。まずは代表的なものを見ていきましょう。
寝床を整える「巣作り」の名残
布団やベッドをホリホリするとき、まず考えられるのが「寝床づくり」です。野生で暮らしていた頃、犬の祖先は地面を掘って、暑さ寒さをしのげる寝床を整えていた——その名残ではないか、と広く考えられています。学術的にきっちり証明された話というより「昔からよく言われている説」ですが、寝る前によく掘ることを思うと、しっくりくる説明です。
獲物を探す・隠す本能
野生時代の犬は、地面を掘って獲物を探したり、余った食べ物を埋めて隠したりしていたと言われます。おもちゃやおやつを隅に押し込もうとするしぐさも、この名残ではないかと考えられています。
体温調節
掘ることで、暑いときは涼しい場所を、寒いときは暖かくこもれる場所をつくろうとしている場合もあります。床の素材やその日の気温によって、掘る勢いが変わることもあります。
退屈・ストレス・要求
エネルギーが有り余っていたり、退屈や不安を感じていたりすると、その発散として掘ることがあります。また「かまってほしい」と飼い主の気を引くために掘る子も。全体の様子とあわせて、気持ちを読み取ってあげましょう。

うちのシロも、寝る前に必ずベッドをホリホリしてから丸くなります。あの儀式のような一連の動きを見ていると、「今日も一日おつかれさま」と声をかけたくなります。
寝る前にホリホリするのはなぜ?
眠りにつく直前、決まってベッドをカリカリ。この「寝る前のホリホリ」には、いくつかの理由が重なっていると考えられます。
ひとつは、先ほどの巣作りの名残。自分にとって心地よい寝床の形に整えているイメージです。加えて、掘ることで空気を含ませて寝床をふかふかにしたり、暑い時期は少しでも涼しい面を出したりと、寝心地の微調整をしているとも言われます。そしてもうひとつ、決まった動作を繰り返すことで気持ちを落ち着かせ、「さあ寝るぞ」というスイッチにしている面もあるようです。寝る前のホリホリは、その子なりの入眠儀式のようなもの。安心してリラックスできている証拠でもあるので、基本的にはあたたかく見守ってあげて大丈夫です。

この「寝る前だけのホリホリ」、うちだけかと思っていたら、多くのおうちで見られるんですよね。安心しきってやっていると思うと、ますますいとおしく感じます。
掘るのはやめさせるべき?見守っていい?
結論から言うと、たまに掘る程度で、床や自分を傷つけていなければ、無理にやめさせる必要はありません。多くは自然な本能やリラックスの表れだからです。ただ、フローリングを傷つける、うるさくて困る、という場合の工夫はあります。
ポイントは、叱らないこと。掘るのをきつく叱ると、かえって不安やストレスを与え、別の問題行動につながることもあります。掘ってほしくない場所で始めたら、掘ってもよいもの(毛布やマット、専用のベッドなど)へそっと誘導するのがおすすめです。退屈が原因のようなら、散歩や遊びを増やしてエネルギーと気持ちを満たしてあげると、自然と落ち着くことも多いです。

「やめさせなきゃ」と力むより、「掘っていい場所」を用意してあげるほうがお互いラク。うちは古いバスタオルを一枚、ホリホリ用に置いています。思う存分どうぞ、という気持ちです。
注意したい掘り方|受診を考えるサイン
ほとんどの穴掘りは心配いりませんが、程度によっては、強いストレスや体のトラブルが隠れていることもあります。次のようなサインがあれば、動物病院や専門家への相談を考えましょう。
- 掘り続けて止まらない(長時間続く、声をかけても中断できない)
- 同じ場所をぐるぐる回る、体を舐め続けるなど、ほかの繰り返し行動も一緒に見られる
- 掘りすぎて肉球が赤くなる・傷ついている、爪が割れている
- 食欲や元気の低下など、体調の変化を伴う
執拗に掘り続ける場合は、退屈やストレスからくる「常同行動」になっていることがあります。また、シニア犬で急に掘り方が変わったときは、加齢に伴う変化が背景にあることも。「ただのクセ」と決めつけず、いつもと違うと感じたら相談してみてください。
まとめ
犬が床や布団を掘るのは、寝床を整える巣作りの名残、獲物を探す・隠す本能、体温調節、退屈やストレスの発散、要求など、さまざまな理由によるものです(祖先の習性という説明は、広く言われている一方で厳密に証明されたものではありません)。特に寝る前のホリホリは、安心してリラックスしている入眠儀式のようなもので、基本は見守って大丈夫。傷や騒音が気になるときは、叱らずに掘ってよい場所へ誘導し、運動や遊びで発散させましょう。ただし、掘り続けて止まらない、肉球や爪を傷めている、ほかの繰り返し行動を伴う、といったときは、ストレスや体のトラブルの可能性も考えて相談を。「ホリホリ」の意味がわかると、あの一生懸命な姿にもちゃんと理由があるのだと、微笑ましく眺められるようになりますよ。
「犬が床を掘る理由」についてのFAQ
Q. 犬が寝る前に布団やベッドをホリホリするのはなぜですか?
A. 大きくは3つです。①祖先が地面を掘って寝床を整えた名残、②掘って空気を含ませたり涼しい面を出したりする寝心地の微調整、③「これから寝るぞ」と気持ちを切り替えるルーティン、が重なっていると言われます。安心しているときに出やすい行動なので、多くは見守ってあげて問題ありません。
Q. フローリングを掘るのをやめさせたほうがいいですか?
A. 床や自分を傷つけておらず、回数も多くないなら、そのままでも構いません。傷や音が気になるなら、古タオルやマットを一枚「掘ってよい場所」として用意し、そちらへ誘導するのが手軽です。退屈から掘る子もいるので、散歩や遊びを足すと自然に減ることもあります。
Q. 穴掘りが心配なのはどんなときですか?
A. 目安は「止められないほど続くか」「体を痛めていないか」。声をかけても掘りやめない、何十分も続く、ぐるぐる回る・体を舐め続けるなどが重なる、肉球や爪が傷んでいる、元気や食欲が落ちている——このあたりが見られたら、ストレスによる常同行動や体の不調も疑い、獣医師に相談してください。
Q. 掘るのをやめさせようと叱っても大丈夫ですか?
A. 強く叱るのは逆効果になりがちです。犬は理由がわからないまま不安になり、かえって別のいたずらが増えることも。掘ってほしくない場所で始まったら、静かに「掘っていい場所」へ移してあげるのが正解です。行動そのものを止めるより、退屈や不安といった"もと"を解消するほうが近道になります。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。