目次
引っ越しは、私たち人間にとっても一大イベント。犬にとっては、住み慣れた環境が一変する大きな出来事で、少なからずストレスを感じるものです。引っ越し後に食欲が落ちたり、粗相が増えたり…と心配になる飼い主さんも多いでしょう。このページでは、犬が引っ越しでストレスを感じる理由、見逃したくないサイン、慣れるまでの期間、そして前後の対策と受診の目安まで、順番にまとめます。
犬にとって引っ越しはなぜストレス?
犬は、住み慣れた場所のにおいや音、毎日の生活リズムに安心して暮らしています。引っ越しは、その"当たり前"が丸ごと変わってしまう出来事。おもな理由を見てみましょう。
- 環境の変化…見慣れない部屋、知らないにおいや物音に囲まれて落ち着かない
- においのリセット…自分のにおいがついた"安心できる場所"が失われる
- 生活リズムの乱れ…荷造りや移動で、食事や散歩の時間がいつもと変わる
- 飼い主の慌ただしさ…バタバタした空気を敏感に感じ取り、不安になる
犬は環境の変化にとても敏感な動物。引っ越しで不安になるのは、むしろ自然な反応だと考えておきましょう。

人間は「新居わくわく!」でも、犬にとっては突然すべてが変わる大事件なんですよね。引っ越しのときは、我が家でもいちばん犬の様子に気を配るようにしています。
見逃さないで|引っ越しストレスのサイン
引っ越し前後は、行動や体調にいつもと違う変化が出やすい時期。次のようなサインが見られたら、不安を感じているのかもしれません。
- トイレの失敗が増える、粗相をする
- 下痢や嘔吐、食欲の低下
- 夜鳴きをする、眠りが浅い
- 留守番中に吠え続ける、落ち着きがない
- 元気がなく、じっとしていることが増える
体を執拗になめ続ける、震えるといった様子が出る子もいます。多くは環境に慣れるにつれて落ち着いていきますが、下痢や嘔吐、食欲不振などの体調変化は、後述する受診の目安も参考にしてください。
慣れるまでの期間の目安
「いつになったら落ち着くの?」と気になりますが、これは犬によって本当にさまざまで、決まった期間はありません。一般的には、数日から2週間ほどで新しい環境に慣れてくる子が多いとされますが、個体差が大きく、数週間から1か月以上かかることもあります。
特に、もともと怖がりな性格の子、子犬やシニア犬は、新しい環境に慣れるまで時間がかかりやすい傾向があります。焦って「早く慣れさせよう」と刺激を与えるより、その子のペースを尊重し、安心できる時間を積み重ねてあげることが、結局はいちばんの近道です。

「うちの子、いつまで元気ないんだろう」と不安になる気持ち、よくわかります。でも犬にも心の準備の時間が必要。焦らず待つと決めるだけで、こちらの気持ちも少しラクになります。
引っ越し前・当日の準備
実は、事前のひと工夫で引っ越しの負担はある程度やわらげられます。引っ越し前と当日にできることを押さえておきましょう。
キャリー・クレートに慣らしておく
引っ越しよりずっと前から、キャリーやクレートの中でおやつをあげるなどして「安心できる場所」にしておくと、移動当日の負担がぐっと減ります。
使い慣れた物は新調しない
引っ越しを機にベッドや食器を新品に替えたくなりますが、ストレス対策としては逆効果。自分のにおいがついた使い慣れた寝床やおもちゃは、そのまま新居へ持っていきましょう。買い替えは、落ち着いてからでも遅くありません。
引っ越し後にできる対策
新居に移ってからのケアが、慣れるスピードを大きく左右します。ポイントは「におい」「安心できる場所」「いつも通り」の3つです。
においのついた物を配置する
使い慣れた寝床・タオル・おもちゃを、新居でも犬がよくいる場所に置いてあげましょう。慣れ親しんだにおいがあるだけで、犬は「ここは安全」と感じやすくなります。
安心できるスペースをつくる
まずは1部屋、あるいはケージまわりを「その子の落ち着ける拠点」にします。ケージを布で覆って囲われた空間にする、人の出入りが少ない静かな場所に置く、引っ越し直後は来客を控える、といった工夫が有効です。
生活リズムをいつも通りに保つ
環境が変わっても、食事や散歩、就寝の時間はできるだけ以前と同じに。変わらない日課があることが、犬にとって大きな安心材料になります。あわせて、スキンシップや声かけの時間を意識的に増やしてあげましょう。

新居であたふたしがちですが、犬の散歩とごはんの時間だけは死守。「いつもと同じ」があると、犬もこちらも不思議と落ち着くんですよね。においつきの毛布は、我が家の引っ越しの必需品です。
こんなときは動物病院へ
引っ越し後の一時的な食欲不振や軟便は、環境に慣れれば落ち着くことも多いですが、次のようなときは様子見にせず、動物病院に相談してください。
- 元気や食欲がない状態が半日〜1日以上続く
- 下痢や嘔吐を繰り返す、または両方が同時に起きている
- ぐったりして動かない、呼びかけへの反応が鈍い
- 血便や、血の混じった嘔吐がある
- 子犬・シニア犬・持病のある子で、上記のような症状が見られる
特に子犬やシニア犬は、下痢や嘔吐から脱水を起こしやすく、悪化が早いことがあります。「ストレスのせい」と自己判断せず、心配なときは早めに受診するのが安心です。
まとめ
犬にとって引っ越しは、においも音も生活リズムも一変する大きなストレスです。トイレの失敗、下痢や嘔吐、食欲低下、夜鳴きなどのサインが出ることがありますが、多くは環境に慣れるにつれて落ち着きます。慣れるまでの期間は数日〜2週間が目安とされるものの個体差が大きく、怖がりな子や子犬・シニア犬は時間がかかりがち。対策のカギは「においのついた物を持ち込む」「安心スペースをつくる」「生活リズムを保つ」の3つです。ただし、下痢や嘔吐を繰り返す、ぐったりしている、食欲がない状態が続くといったときは、迷わず動物病院へ。愛犬が新しい我が家を「安心できる場所」と思えるよう、焦らず寄り添ってあげてください。
「犬 引っ越し ストレス」についてのFAQ
Q. 引っ越し後、犬が元気がなく食欲もありません。大丈夫でしょうか?
A. 環境の変化による一時的なストレス反応のことが多く、慣れれば戻ってくるケースがほとんどです。においのついた寝床を置く、静かな安心スペースをつくる、生活リズムをいつも通りに保つ、といったケアを。ただし、食欲がない状態が1日以上続く、下痢や嘔吐を伴う、ぐったりしているなら、様子見せず動物病院に相談してください。特に子犬やシニア犬は早めが安心です。
Q. 犬が新しい家に慣れるまで、どのくらいかかりますか?
A. 「何日で」と一概には言えないのが正直なところです。翌日にはケロッとする子もいれば、1か月以上かけてゆっくり…という子もいます。強いて目安を挙げれば数日〜2週間ですが、臆病な子・子犬・シニアは長引きがち。いちばん大事なのは急がないこと。無理に慣らそうとせず、いつも通りの毎日を淡々と続けるのが、遠回りに見えていちばん効きます。
Q. 引っ越しのストレスを減らすには、何をすればいいですか?
A. コツは「新居に"いつものにおい"を持ち込む」こと。洗いたてのふかふかより、愛犬のにおいが染みた寝床やおもちゃをそのまま置くほうが安心します。あわせて、段ボールや布でおおった"隠れ家"を一つ用意し、食事・散歩・就寝の時刻を引っ越し前と変えないこと。移動用のキャリーも、当日ぶっつけ本番にせず、普段からくつろげる場所にしておくとスムーズです。
Q. 引っ越しを機に、ベッドや食器を新しくしても大丈夫?
A. ストレス対策の面では、引っ越し直後の買い替えはおすすめしません。自分のにおいがついた物は、犬にとって大きな安心材料だからです。新調したい場合も、新居の環境に十分慣れて落ち着いてから、少しずつ替えていくと負担が少なくてすみます。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。