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ロープのおもちゃを差し出すと、目を輝かせてグイグイ引っ張ってくる愛犬。この「引っ張りっこ(綱引き遊び)」が大好きな子は多いですよね。一方で「引っ張りっこは攻撃的になるからダメ」という話を聞いて、遊んでいいのか迷う方もいるはず。結論から言うと、ルールを守れば引っ張りっこはとても良い遊びです。このページでは、犬が引っ張りっこを好きな理由、"攻撃的になる説"の真相、正しい遊び方、そして控えたほうがよいケースまで解説します。
犬が引っ張りっこを好きなのはなぜ?
引っ張りっこにこれほど夢中になるのには、犬の本能や気持ちが関係しています。
狩りの本能をくすぐるから
根っこにあるのは、遠い祖先から受け継いだ狩猟本能。犬の祖先は、獲物を捕らえて仲間と引っ張り合い、噛みちぎって食べていました。動くおもちゃに食らいついて引っ張る動きは、まさにその狩りの再現。本能的にワクワクする遊びなのです。
噛みたい欲求を満たせるから
犬にはもともと「噛みたい」という欲求があり、引っ張りっこはそれを健全に発散できます。噛んでいい対象で思いきり遊べるので、家具や靴へのいたずら防止にもつながります。
飼い主との絆・ストレス発散
飼い主と力を合わせて引っ張り合う時間は、それ自体が大切なスキンシップ。楽しく遊ぶことで信頼関係が深まり、たまったエネルギーやストレスの発散にもなります。

シロも引っ張りっこが大好きで、ロープを見せると目の色が変わります。あの本気の"うー!"という顔を見ると、狩りの血が騒いでいるんだなあと、なんだか頼もしくなります。
「引っ張りっこは攻撃的になる」はホント?
「引っ張りっこで犬に勝たせると、わがままや攻撃的になる」「主従関係が崩れる」——そんな説を聞いたことがあるかもしれません。でも、これはすでに研究で否定されています。
2002年にイギリスの研究者が行った実験では、犬に勝たせる綱引きと、人が勝つ綱引きをそれぞれ繰り返し、犬の"支配性"に関わる項目を前後で比較しました。その結果、勝ち負けは犬の支配性に影響しなかったと報告されています。むしろ遊んだ後は、勝敗に関係なく飼い主への注目や指示への反応が良くなる傾向も見られたとされます。「勝たせたら偉そうになる」というのは、こうした研究からは裏づけのない、昔ながらの俗説と考えてよいでしょう。安心して遊んで大丈夫です。
ただし、これは「正しく遊べば」の話。ルールなく力任せに遊ぶ、歯が手に当たっても放置する、といった不適切な遊び方をすれば、問題行動につながることもあります。大事なのは勝ち負けではなく、"遊び方の質"なのです。

私も昔は「勝たせちゃダメ」と信じていました。でも研究で否定されていると知って、目からうろこ。むしろ勝たせたほうが喜んで、絆も深まる。思い込みを手放すのって大事ですね。
引っ張りっこの正しい遊び方・ルール
安全に、そして関係を深める遊びにするために、次のルールを守りましょう。
- 犬用のおもちゃを使う…手・服・家具ではなく、専用のロープやおもちゃで。手を使うと甘噛みのクセにつながる
- 「離す」合図を教える…「ちょうだい」「はなせ」などの合図で口を離す練習を。おやつと交換すると覚えやすい
- ときどき離してクールダウン…20〜30秒ほど遊んだら一度離させ、興奮しすぎを防ぐ
- 激しく振り回さない…上下左右に強く振ると首や歯に負担がかかる。優しく引き合う程度に
- ときには勝たせてあげる…毎回人が勝つ必要はなく、時々は犬に勝たせるほうが、やる気が続きやすい
始めるタイミングや終わらせるタイミングは、飼い主が主導するとメリハリがつきます。「おしまい」の合図で気持ちよく終われるようにしておくと、日常のコントロールもしやすくなります。
遊ぶときの注意点
楽しい遊びだからこそ、いくつか気をつけたいポイントがあります。
唸り声は"興奮"、でも度が過ぎたら中断
「うー」という唸り声を聞くと不安になりますが、多くの場合は遊びに夢中になった興奮のサインで問題ありません。ただし、体がガチガチに硬直する、目つきが変わる、歯が手に当たるほど激しくなる、といった段階になったら、いったん遊びを中断してクールダウンを。「楽しい興奮」と「本気」の境目を見極めてあげましょう。
子犬・歯の生え変わり時期は優しく
子犬と遊ぶときは、力を弱めに。特に生後3〜7か月ごろの歯の生え変わり時期は、歯がぐらついたり歯茎がむずがゆかったりするので、強く引っ張るのは避けてください。
歯や首、関節に負担をかけない
強い力で引っ張り合ったり振り回したりすると、歯の損傷や首・関節への負担になります。あくまで犬のペースに合わせ、無理な力はかけないことが大切です。

唸り声にドキッとして「怒ってる!?」と焦る方もいますが、たいていは楽しくて仕方ないだけ。とはいえ興奮のしすぎは禁物。うちは「一回落ち着こう」と小休止を挟むようにしています。
引っ張りっこを控えたほうがよいケース
基本的には良い遊びですが、なかには慎重にしたほうがよい場合もあります。次のようなときは、無理に引っ張りっこをせず、別の遊びを選んだり専門家に相談したりしましょう。
- おもちゃやフードを強く独占したがる(渡すと唸る・噛むなど資源への執着が強い)子
- 小さな子どもがいる家庭で、遊びのルールを子どもが守りきれない場合
- 顎や首、歯に持病のある高齢犬
- 遊ぶといつも過剰に興奮し、なかなか落ち着けない子
特に、物への執着が強く「渡すのを嫌がって唸る・噛む」ような場合は、無理に引っ張りっこを続けると、かえって独占欲を刺激してしまうことも。こうしたケースでは、ドッグトレーナーなど専門家に相談しながら進めると安心です。
まとめ
犬が引っ張りっこを好きなのは、狩猟本能をくすぐられ、噛みたい欲求を満たせて、飼い主との絆やストレス発散にもなるから。「勝たせると攻撃的になる」という説は2002年の研究で否定されており、正しく遊べば関係にむしろ良い影響があるとされています。ルールは、犬用おもちゃを使う・「離す」合図を教える・こまめにクールダウン・激しく振らない・ときどき勝たせる。唸りは興奮のサインですが、度が過ぎたら中断を。子犬の歯の生え変わり時期や、資源への執着が強い子、持病のある高齢犬などは慎重に。ルールを守って、愛犬との楽しい引っ張りっこタイムを満喫してください。
「犬 引っ張りっこ」についてのFAQ
Q. 引っ張りっこで犬に勝たせると、わがままや攻撃的になりませんか?
A. その心配は不要です。犬に勝たせても支配的・攻撃的にはならないと研究で確かめられています。大切なのは勝敗より"遊び方のルール"。手ではなくおもちゃで遊ぶ、合図で離す、といった基本さえ守れば、引っ張りっこは絆を深めるプラスの遊びになります。負けてばかりだと張り合いがなくなるので、時々は勝たせてあげてください。
Q. 引っ張りっこ中に「うー」と唸ります。怒っているのでしょうか?
A. 遊びの最中の「うー」は、たいてい"楽しくて興奮している"合図で、怒りではありません。見分けたいのは本気に切り替わる瞬間です。体を固くする、視線が鋭くなる、歯が手に触れる——このサインが出たら、いったん手を止めて数十秒クールダウン。落ち着いてからまた遊べば大丈夫です。
Q. 引っ張りっこで気をつけるルールは何ですか?
A. まず"手や服では遊ばない"こと(甘噛みのもとになります)。専用のおもちゃを使い、「ちょうだい」の合図でパッと離せるよう、おやつと交換しながら教えます。ヒートアップしすぎないよう時々小休止を入れ、首を痛めるので強く振り回さないこと。始めと終わりは人が決め、「おしまい」でスッと切り上げる習慣をつけると、暮らしの中でもコントロールしやすくなります。
Q. 引っ張りっこをしないほうがいい犬もいますか?
A. ものへの独占欲が強く、取り上げようとすると本気で唸る・噛む子は要注意。引っ張りっこがその執着をあおってしまうことがあります。ほかにも、あごや首・歯に不調のある高齢犬、興奮すると止まらなくなる子も慎重に。当てはまる場合は、知育おもちゃなど別の遊びに切り替えるか、トレーナーに相談しながら取り入れましょう。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。