犬のあくびの理由は?眠い以外の意味とストレス・病気のサインをイメージできる記事のメイン画像

「眠いのかな」と思って見ていた愛犬のあくび。実はそこに、緊張をほぐそうとする気持ちや、飼い主への共感、ときには体の不調まで隠れていることがあります。あくびひとつで、犬は意外なほどいろいろなことを語っているのです。ここでは、犬のあくびがもつ3つの意味と、見逃したくない病気のサイン、そして「ちょっと多いかも」と感じたときの見分け方を紹介します。

犬のあくびには3つの意味がある

犬のあくびには3つの意味がある

犬のあくびは、大きく3つのタイプに分けて考えると理解しやすくなります。ひとつは眠いときなどの「生理的なあくび」、ふたつめは緊張をやわらげようとする「気持ちのあくび」、みっつめは飼い主に共感する「コミュニケーションのあくび」です。同じあくびでも、どんな場面で出たかによって意味が変わります。順番に見ていきましょう。

①生理的なあくび|眠い・頭をすっきりさせたい

①生理的なあくび|眠い・頭をすっきりさせたい

眠いときや起きぬけの大あくび——これが、いちばん身近なタイプです。人間と同じで、心配のいらない自然な反応です。ほかにも、脳に酸素を取り込む、頭の温度を少し下げて働きを整える、といった役割があると考えられています。リラックスしているときや、寝起き・食後などに出るあくびは、このタイプがほとんどです。全体の様子が穏やかなら、まず気にする必要はありません。

柴田ママ
柴田ママ@shibata_mama
執筆者のひとこと

うちのシロも、日なたでうとうとしながら「ふぁ〜」と大あくび。あの脱力しきった顔を見ると、こっちまで眠くなってきます。平和なあくびは、見ていて幸せな気持ちになりますね。

②カーミングシグナル|落ち着こうとするあくび

②カーミングシグナル|落ち着こうとするあくび

眠くもないのにあくびをするとき、それは「カーミングシグナル」と呼ばれる気持ちの表れかもしれません。カーミングシグナルとは、犬が自分や相手を落ち着かせ、無用な争いを避けるために見せるボディランゲージのこと。ノルウェーの動物行動学者トゥーリッド・ルーガスが提唱した考え方で、あくびのほか、口のまわりをなめる、目をそらす、体をブルッと振るといったしぐさも同じ仲間とされています。

どんな場面で出る?

たとえば、叱られているとき、動物病院で緊張しているとき、知らない犬と出会ったとき、強く抱っこされて少し困っているとき——こうした「ちょっと苦手だな」「落ち着きたいな」という場面であくびが出ることがあります。犬なりに、自分の気持ちを静めようとしているサインだと考えられます。

「行動学で広く支持されている考え方」

ここで補足を。カーミングシグナルは、脳科学的にすべて証明されたというより、トレーナーや行動学の専門家が長年の観察から体系化した経験則がベースになっています。俗説というわけではなく、しつけや行動学の現場で広く受け入れられている考え方ですが、「あくび=必ずストレス」と機械的に決めつけず、その場の状況や表情とあわせて読み取るのが正確です。

柴田ママ
柴田ママ@shibata_mama
執筆者のひとこと

これを知ってから、シロが病院であくびをすると「あぁ、緊張してるんだね」と声をかけるようになりました。意味を知るだけで、犬の気持ちにぐっと寄り添えるようになる。おもしろいものです。

③あくびがうつる|飼い主への共感のサイン

③あくびがうつる|飼い主への共感のサイン

飼い主があくびをすると、つられて犬もあくび…という経験はありませんか。この「あくびの伝染」には、興味深い研究があります。

東京大学の研究でわかったこと

2013年、東京大学の研究グループが、家庭で飼われている犬を対象に実験を行いました。飼い主と、見知らぬ人がそれぞれあくびをして見せたところ、犬は見知らぬ人よりも飼い主のあくびに、およそ3.5倍も多く反応したのです。しかも、あくびがうつるときに心拍数の上昇が見られなかったことから、これは不安やストレスによるものではなく、「共感」に関わる行動ではないかと分析されています。親しい相手のあくびほどうつりやすい、というわけです。

まだ研究途中の部分も

とはいえ、この研究は25頭を対象にした一つの研究であり、あくびが伝染する詳しい仕組みまで解明されたわけではありません。「絆に関わるホルモンが関係しているのでは」といった仮説も語られていますが、こちらはまだ研究段階。「飼い主のあくびのほうがうつりやすい」という結果は確かめられている一方、その理由の全部が判明しているわけではない、というのが誠実なところです。

柴田ママ
柴田ママ@shibata_mama
執筆者のひとこと

私があくびをすると、シロもつられて「ふぁ」。それが不安じゃなく共感のサインかもしれないと知って、なんだか嬉しくなりました。研究でわかることと、まだ謎なこと。その両方があるのも、生き物らしくて素敵です。

注意したい「病気のサイン」としてのあくび

注意したい「病気のサイン」としてのあくび

ほとんどのあくびは心配いりませんが、まれに体の不調が背景にあることもあります。眠くも緊張もしていないのに、あくびが急に増えた・やたらと多いと感じるときは、次のような可能性も頭の片隅に。

  • 貧血…体に酸素が足りず、あくびが増えることが。歯ぐきが白っぽい、疲れやすいなどを伴う
  • 低血糖…ふらつき、元気消失などと一緒に見られることがある(特に子犬・小型犬)
  • てんかんなど神経の病気…発作や震え、よだれを伴う場合
  • 心臓・呼吸器の病気…酸素不足からあくびが増え、咳や疲れやすさを伴うことがある
  • 歯周病・口内トラブル…口臭や食べづらさを伴うことがある

これらはあくびだけで判断できるものではなく、あくまで「ほかの症状と重なったとき」に疑うものです。あくびに加えて元気や食欲がない、ふらつく、舌や歯ぐきの色が白い・紫っぽい、顎が震えている——こうしたサインがあれば、動物病院を受診してください。

あくびが多い?気になるときの見分け方

あくびが多い?気になるときの見分け方

「うちの子、あくびが多い気がする」と感じたら、まずは"どんなときのあくびか"を観察するのが近道です。次の視点で見てみましょう。

場面と全身の様子をセットで見る

寝起きや食後、リラックスタイムのあくびなら生理的なもの。叱られた直後や病院など、緊張する場面でのあくびならカーミングシグナル。飼い主のあくびにつられるなら共感のサインです。一方、眠くも緊張もしていないのに頻発する、ほかの体調変化を伴う、という場合は病気の可能性も考えます。「いつ・どんな様子で」を意識するだけで、意味がぐっと読み取りやすくなります。

迷ったら記録して相談を

あくびの回数が急に増えた、気になる症状もある、というときは、いつ・どのくらいあくびをするかをメモしたり、様子を動画に撮っておいたりすると、受診時に役立ちます。判断に迷うくらいなら、かかりつけに相談してしまうのがいちばん安心です。

柴田ママ
柴田ママ@shibata_mama
執筆者のひとこと

あくび一つとっても、こんなに意味があるなんて奥深いですよね。私は「今のは眠いあくび?緊張のあくび?」と考えるのが、ちょっとした楽しみになっています。愛犬を観察するきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

まとめ

犬のあくびには、「眠い・頭をすっきりさせたい」という生理的なもの、緊張をやわらげようとするカーミングシグナル、飼い主への共感からうつるものと、大きく3つの意味があります。カーミングシグナルは行動学で広く支持される考え方、あくびの伝染は東京大学の研究で「飼い主のほうがうつりやすい=共感に関わる」ことが示されていますが、その仕組みのすべてが解明されたわけではありません。ほとんどのあくびは心配いりませんが、眠くも緊張もしていないのに急に増えた、ほかの症状を伴う、という場合は貧血などの病気が隠れていることも。「いつ・どんな様子であくびをするか」を観察し、気になるときは動物病院に相談しましょう。

「犬のあくび」についてのFAQ

Q. 犬はどうしてあくびをするのですか?

A. 主に3つの理由があります。眠いときや頭をすっきりさせたいときの生理的なあくび、緊張や不安をやわらげようとするカーミングシグナル、そして飼い主に共感してうつるあくびです。どの場面で出たあくびかによって意味が変わるので、全身の様子とあわせて見てあげましょう。

Q. 犬にあくびがうつるのは本当ですか?

A. 研究上はその通りで、飼い主のあくびのほうがうつりやすいとされています。見知らぬ人より反応が多く、しかもそのとき緊張の指標(心拍)が上がらなかったため、「こわいから」ではなく「共感」が背景にあると分析されています。ただ、なぜうつるのかという仕組みそのものは、まだ完全には解き明かされていません。

Q. あくびが多いのは病気のサインですか?

A. 大半は眠気や緊張が理由なので、過度な心配はいりません。ただ、寝ても構ってもいないのにあくびだけが急に増えたときは要注意。ふらつく、疲れやすい、歯ぐきや舌が白っぽい・紫っぽい、食欲が落ちた、といった変化が重なるなら、貧血や心臓の不調などが隠れていることもあるので、動物病院で診てもらいましょう。

Q. 叱っているときに犬があくびをするのはなぜ?

A. それはカーミングシグナルの可能性が高いです。「反省していない」のではなく、緊張や気まずさを感じて自分を落ち着かせようとしているサインと考えられます。強く叱り続けるより、いったん落ち着ける状況をつくってあげるほうが、犬にも伝わりやすくなります。

本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

この記事を書いた人

柴犬のシロと暮らして10年。ペットホテル選びで何度も失敗した経験から、このメディアを立ち上げました。愛犬が安心して過ごせる預け先を、飼い主さんと一緒に探していきます。