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子犬の社会化は、その後の性格を大きく左右する、生後3か月ごろまでのとても大切な取り組みです。この「社会化期」に、さまざまなものへ上手に慣らしてあげると、物おじせず、穏やかな性格に育ちやすくなります。逆に、経験が足りないと、吠えや噛み、怖がりなどの問題行動につながることも。子犬の社会化とは何か、いつまでに、何をすればいいのかを紹介します。
子犬の社会化期とは|生後3か月までが鍵
「社会化」とは、子犬が、人や、ほかの動物、さまざまな物・音・環境に慣れて、この世界を「怖くないもの」として受け入れていくこと。そして、それがもっとも進みやすいのが、生後3週〜13週齢ごろ(およそ生後3か月まで)の「社会化期」です(とくに6〜8週齢がピークとされます)。
この時期の子犬は、恐怖心よりも、好奇心のほうが勝っているため、はじめて出会うものを、すんなり受け入れやすいのです。ここでの経験が、一生の性格の土台になります。逆に、この時期に、いろいろな経験が足りないと、成犬になってから、知らない人や犬を怖がる、大きな音に吠える、噛む、分離不安になるなど、問題行動につながりやすくなります。たとえば犬の分離不安も、社会化不足が背景にあることがあります。だからこそ、社会化期は、子育ての「勝負どころ」なのです。
社会化で慣らしたいもののチェックリスト
社会化期に慣らしておきたいものは、人・動物・生活音・場所・体を触られることなど、多岐にわたるもの。無理のない範囲で、少しずつ経験させてあげましょう。
- いろいろな人…家族以外の人、子ども、高齢者、男性・女性、帽子や傘・メガネ・マスクの人、宅配の人など
- ほかの動物…ワクチン済みの、ほかの犬、猫など
- 生活音…掃除機、ドライヤー、チャイム、雷、花火、車の音、テレビ、洗濯機
- 場所・環境…車、動物病院、散歩コース、公園、エレベーター
- 体を触られること…足先・肉球(爪切りの準備)、口・歯(歯みがきの準備)、耳、しっぽ、お腹、ブラッシング
- いろいろな地面・段差…アスファルト、芝生、砂利、フローリング、階段、坂
- 生活の出来事…来客、留守番、首輪・ハーネス・リードの装着
とくに、足先や口を触られることに慣らしておくと、将来の爪切りや歯みがき、動物病院での診察が、ぐっと楽になります。「困りごとの予防」として、意識しておきましょう。
社会化の進め方の原則は怖がらせないこと
社会化の進め方で、いちばん大切なのは、「怖い経験にしない」こと。子犬にとって、1回の強い恐怖体験が、一生の「苦手」を作ってしまうことがあります。次の原則を守りましょう。
- 楽しい経験にする…新しいものに出会えたら、おやつをあげたり、褒めたりして、「新しいもの=良いこと」と結びつけます
- 怖がったら、距離を取る・強制しない…無理に近づけないこと。子犬のペースに合わせます
- 少しずつ・短時間から…刺激の強さを、段階的に。1日に、たくさん詰め込みすぎない
- ストレスのサインを見る…しっぽを下げる、震える、隠れる、は「こわい」のサイン。手前で切り上げます
逆に、やってはいけないのが、怖がっているのに無理やり近づける、逃げられない状況に追い込む、怖がったことや失敗を叱る、いきなり大きな刺激を与えること。これらは、かえって苦手を強めてしまいます。叩くなどの体罰も、問題行動を悪化させるので、絶対にやめましょう。
ワクチン前でも社会化はできるのか
ワクチン完了前でも、感染予防と両立する工夫しだいで、社会化は十分に進められるもの。多くの飼い主さんが悩むのが、「ワクチンが終わるまで外に出せないのに、社会化はどうすれば?」という点ですが、たしかに、プログラム完了までは、感染症を防ぐため、外の地面を歩かせたり、知らない犬と接触させたりするのは注意が必要です。
でも、社会化期は限られているので、完全に外を避けて、社会化のチャンスを逃すのも問題。そこで、感染予防と社会化を両立する、次のような工夫があります。抱っこでの散歩(地面に下ろさず、外の音・景色・においを経験させる)、清潔な自宅で、来客に会わせる、ワクチン済みの犬との、清潔な環境での交流、パピークラス(子犬の幼稚園)の活用など。どこまで、どう進めるかは、かかりつけの獣医師と相談しながら、安全に行いましょう。本格的な地面の散歩デビューの時期は、ふつう、ワクチンのプログラム完了後が目安です。

ご近所さんが、子犬を迎えたとき、「ワクチンが終わるまで、家から一歩も出さない」と徹底していました。でも、それだと社会化の時期を逃すと聞いて、抱っこ散歩に切り替えたそうです。おかげで、外の音や車に動じない、おっとりした子に育ったとか。感染予防と社会化、両立できるんですね。
社会化期を逃した成犬・保護犬でも遅くない
社会化期を過ぎた成犬や保護犬でも、社会化のやり直しは十分に可能。「もう社会化期を過ぎた」「うちは保護犬で社会化不足かも」という場合も、あきらめる必要はありません。犬の社会化不足の直し方でも紹介するとおり、「社会化期を逃したら手遅れ」というのは、昔の研究が単純化されて広まった誤解です。
たしかに、成犬になってからの社会化は、子犬のときより、時間はかかります(子犬期は「慣れ」、成犬は「学習」というイメージです)。でも、やり直しはできます。進め方は、子犬のときと同じで、無理をさせず、ごく小さなステップから、楽しい経験を、少しずつ積み重ねていくこと。焦らず、その子のペースで。もし、恐怖心や、他人・他犬への攻撃性が強くて、うまくいかないときは、獣医師や、信頼できるプロのトレーナー、行動診療科に相談しましょう。今できることから始めれば、きっと変わっていきます。
子犬の社会化の進め方と要点まとめ
子犬の「社会化期」は、生後3週〜13週齢ごろ(およそ生後3か月まで、ピークは6〜8週齢)で、一生の性格の土台となる大切な時期。ここで、いろいろな人・動物・音・場所・体を触られることなどに、上手に慣らすと、物おじしない、穏やかな性格に育ちやすく、吠え・噛み・怖がり・分離不安などの予防にもなります。進め方のコツは、おやつなどで「楽しい経験」にすること、怖がったら強制しないこと、少しずつ進めること。無理に近づける・叱る・体罰はNGです。ワクチン完了前でも、抱っこ散歩や、ワクチン済みの犬との交流、パピークラスなどで、感染予防と両立しながら社会化を。そして、社会化期を逃した成犬・保護犬でも、時間はかかりますが、やり直せます。焦らず、その子のペースで、今できることから始めましょう。
子犬の社会化についてのよくある質問
Q. 子犬の社会化期は、いつからいつまでですか?
A. 一般に、生後3週〜13週齢ごろ(およそ生後3か月まで)が社会化期とされ、とくに6〜8週齢がピークといわれます。この時期の子犬は、恐怖心よりも好奇心が勝っているため、はじめて出会うものを、すんなり受け入れやすいのです。ここで、さまざまな人・動物・音・場所・体を触られることなどに、上手に慣らしておくと、物おじしない、穏やかな性格に育ちやすくなります。逆に、この時期の経験が足りないと、成犬になってから、怖がりや、吠え・噛みなどの問題行動につながりやすくなります。子犬を迎えたら、この限られた時期を意識して、無理のない範囲で、いろいろな経験をさせてあげましょう。
Q. ワクチンが終わっていないと、社会化はできませんか?
A. そんなことはありません。たしかに、ワクチンのプログラムが完了するまでは、感染症予防のため、外の地面を歩かせたり、知らない犬と接触させたりするのは、注意が必要です。でも、社会化期は限られているので、完全に外を避けて、チャンスを逃すのも問題です。そこで、感染予防と社会化を両立する工夫を。たとえば、抱っこでの散歩(地面に下ろさず、外の音や景色に慣れさせる)、清潔な自宅での来客との対面、ワクチン済みの犬との清潔な環境での交流、パピークラスの活用などです。どこまで進めてよいかは、かかりつけの獣医師と相談しながら、安全に行いましょう。本格的な地面の散歩は、ワクチン完了後が目安です。
Q. 社会化期を逃してしまいました。もう手遅れですか?
A. 手遅れではありません。「社会化期を逃したら手遅れ」というのは、昔の研究が単純化されて広まった誤解です。たしかに、成犬になってからの社会化は、子犬のときより、時間はかかります(子犬期は「慣れ」、成犬は「学習」というイメージです)。でも、やり直しはできます。進め方は、子犬のときと同じで、無理をさせず、ごく小さなステップから、おやつや褒め言葉で「楽しい経験」にしながら、少しずつ積み重ねていくこと。焦らず、その子のペースで進めましょう。もし、恐怖心や、他人・他犬への攻撃性が強く、うまくいかないときは、獣医師や、信頼できるプロのトレーナー、行動診療科に相談してください。今からでも、変わっていけます。
Q. 社会化のとき、子犬が怖がったら、どうすればいいですか?
A. 無理に近づけず、距離を取って、落ち着かせてあげてください。社会化で、いちばん大切なのは、「怖い経験にしない」ことです。子犬にとって、1回の強い恐怖体験が、一生の「苦手」を作ってしまうことがあります。しっぽを下げる、震える、隠れる、固まる、といった様子は、「こわい」というストレスのサイン。そのときは、無理をせず、その刺激から離して、手前で切り上げましょう。そして、少し慣れたら、おやつをあげたり褒めたりして、「大丈夫だったね」と、良い経験に結びつけます。刺激の強さは、少しずつ、段階的に上げていくのがコツ。怖がったことを叱ったり、逃げられない状況に追い込んだりは、絶対にやめてください。かえって苦手を強めてしまいます。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。