犬のワクチンの種類と時期|狂犬病と混合・副反応・室内飼いをイメージできる記事のメイン画像

犬のワクチンには、法律で義務づけられた狂犬病ワクチンと、任意の混合ワクチンの2種類があり、混同しないことが大切です。「狂犬病と混合は何が違うのか」「室内飼いでも必要か」「子犬はいつ打つのか」——あいまいなままの方も多いテーマです。犬のワクチンの種類と、子犬の接種スケジュール、副反応、そして室内飼いでも必要な理由を解説します。

犬のワクチンは2種類|義務と任意

犬のワクチンは2種類|義務と任意

犬のワクチンは2種類あり、狂犬病ワクチンと混合ワクチンでは位置づけがまったく違います。

項目狂犬病ワクチン混合ワクチン
位置づけ法律上の義務(狂犬病予防法)任意(感染症予防に推奨)
対象・頻度生後91日以上の犬。登録し、年1回接種その子の状況に応じて、獣医師と相談
未接種の扱い違反すると罰則の対象になり得る罰則はない

狂犬病ワクチンは、飼い主の「義務」です。生後91日を過ぎたら、市区町村に登録し、その後は毎年1回、接種します。一方、混合ワクチンは「任意」ですが、こわい感染症から愛犬を守るために、接種が強くすすめられます。この2つは、混同しないようにしましょう(接種の順番や間隔は、獣医師の指示に従ってください)。

混合ワクチンの種類|コアとノンコアの考え方

混合ワクチンの種類|コアとノンコアの考え方

混合ワクチンには、「5種」「6種」「8種」などがあり、数字は「防げる病気の数」を表します。ただ、数が多ければよい、というわけではありません。大切なのは、「コア」と「ノンコア」の考え方です。

  • コアワクチン…致死率が高く、すべての犬に推奨される中身。犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬アデノウイルス(伝染性肝炎など)といった、こわい感染症を防ぎます
  • ノンコアワクチン…生活環境に応じて選ぶもの。代表が、レプトスピラ症(水辺やアウトドアでリスク)です

たとえば、都市部で室内中心の子は、少ない種数で足りることが多く、山や水辺によく行く子は、レプトスピラを含む種数を検討する、といった選び方になります。どの種数が、その子に合うかは、地域の流行や生活環境によって違うので、かかりつけの獣医師と相談して決めましょう。「8種が一番いい」と、数字だけで選ぶものではありません。

子犬の接種スケジュールと、散歩デビュー

子犬の接種スケジュールと、散歩デビュー

子犬のうちは、母犬からもらった免疫(母子免疫)が切れる時期をカバーするため、混合ワクチンを、複数回接種します。

  • 1回目…生後6〜8週ごろ
  • 2回目以降…3〜4週間隔で、あと2〜3回。最終接種は、生後16週齢以降が望ましいとされます
  • その後…成犬になってからも、追加接種を(初回の約1年後、以降は獣医師と相談して、1〜3年ごとなど)

気をつけたいのが、散歩デビューの時期です。ワクチンのプログラムが完了し、免疫がしっかり立ち上がる(最終接種の2〜3週間後ごろが目安)までは、外の地面や、他の犬との接触に注意が必要です。パルボなどの感染を防ぐためです。ただし、この時期は、性格を形づくる大切な「社会化期」と重なります。完全に外を避けて、社会化のチャンスを逃すのも問題。抱っこでの散歩や、ワクチン済みの犬との清潔な環境での交流など、感染予防と社会化を両立する工夫を、獣医師と相談しながら進めましょう。散歩デビューの時期は犬の散歩はいつから、社会化期の過ごし方は犬の社会化不足の記事も参考になります。

柴田ママ
柴田ママ@shibata_mama
執筆者のひとこと

うちの子のワクチンのとき、獣医さんに「念のため午前中に接種して、午後は家で様子を見られるようにしてね」と言われました。実際、その日は少し元気がなかったものの、翌日には回復。もし急な反応が出ても、すぐ気づける時間に打つのは大事なんだと、あらためて納得しました。

ワクチンの副反応|軽い症状と、緊急のサイン

ワクチンの副反応|軽い症状と、緊急のサイン

ワクチンの後には、副反応が出ることがあります。多くは軽いものですが、まれに緊急のこともあるので、見分けを知っておきましょう。

  • 軽い副反応(数日で回復)…元気がない、食欲が落ちる、注射した場所が腫れる・痛がる、軽い発熱など。数日で自然に治まります
  • 緊急のサイン(アナフィラキシー)…顔(目や口のまわり)が腫れる、嘔吐、下痢、ぐったりする、じんましん、呼吸が苦しそう。これは、接種後、短時間(多くは1時間以内など)で起こる、命に関わる反応です。すぐに受診してください

この緊急の反応に、すぐ対応できるよう、ワクチンの接種は、午前中〜早い時間に受けるのがおすすめです。接種後、しばらく様子を見られる状態にしておき、異常があれば、すぐ動物病院へ。接種当日は、激しい運動やシャンプーは避けて、安静に過ごさせましょう。

室内飼いでも、ワクチンは必要?

室内飼いでも、ワクチンは必要?

室内飼いでも、ワクチンは必要です。「外に出ないから不要では」と思う方もいますが、理由は次のとおりです。

まず、ウイルスは、飼い主の靴や衣服、他の犬との間接的な接触などを通じて、家の中に持ち込まれます。とくに、パルボウイルスは、環境の中で非常に強く、長く生き残るため、消毒だけでは防ぎきれません。そして、狂犬病ワクチンは、室内飼いでも、法律上の義務です。登録などの手続きは、犬のマイクロチップは義務?の記事も参考になります。なお、「抗体検査(抗体価検査)」で、体に十分な免疫が残っているかを調べ、混合ワクチンの接種時期の参考にする、という考え方もあります(ただし、狂犬病は法律で決まっているので、抗体検査で代わりにすることはできません)。接種の方針は、かかりつけの獣医師と相談しましょう。

犬のワクチンの種類と時期|まとめ

犬のワクチンには、2種類あります。狂犬病ワクチンは、法律上の義務で、生後91日以上で登録し、年1回接種。混合ワクチンは任意ですが、こわい感染症から守るために推奨されます。混合ワクチンは、致死率の高い病気を防ぐ「コア」(ジステンパー・パルボなど、全ての犬に推奨)と、生活環境で選ぶ「ノンコア」(レプトスピラなど)に分かれ、種数はその子の環境に合わせて、獣医師と相談を。子犬は、生後6〜8週から、3〜4週間隔で複数回接種し、散歩デビューはプログラム完了後が目安(ただし社会化との両立を工夫)。副反応は、多くが軽いものですが、顔の腫れ・嘔吐・呼吸困難などのアナフィラキシーは緊急なので、午前中の接種がおすすめです。室内飼いでも、ウイルスの持ち込みや法律の義務から、ワクチンは必要。方針は、かかりつけの獣医師と相談してください。

「犬 ワクチン」についてのFAQ

Q. 狂犬病ワクチンと混合ワクチンは、何が違うのですか?

A. いちばん大きな違いは、「義務か、任意か」です。狂犬病ワクチンは、狂犬病予防法という法律で定められた「義務」で、生後91日以上の犬は、市区町村に登録し、年1回接種しなければなりません(違反すると罰則の対象になり得ます)。一方、混合ワクチンは「任意」で、罰則はありませんが、ジステンパーやパルボなど、こわい感染症から愛犬を守るために、接種が強くすすめられています。この2つは、目的も中身も別のもの。両方とも、愛犬と、社会を守るために大切です。接種の順番や間隔は、獣医師の指示に従ってください。混同しないよう、覚えておきましょう。

Q. 混合ワクチンの「5種」「8種」は、どう選べばいいですか?

A. 数字は「防げる病気の数」を表しますが、数が多ければよい、というものではありません。大切なのは、致死率が高く全ての犬に推奨される「コアワクチン」(ジステンパー・パルボ・アデノウイルスなど)が含まれていること。そのうえで、「ノンコアワクチン」(レプトスピラ症など)を、生活環境に応じて選びます。たとえば、都市部で室内中心の子は少ない種数で足りることが多く、山や水辺によく行く子は、レプトスピラを含む種数を検討します。どの種数が、その子に合うかは、住んでいる地域の流行や、生活スタイルによって違うので、かかりつけの獣医師と相談して決めるのが、いちばんです。

Q. ワクチンの後、元気がありません。大丈夫でしょうか?

A. 接種後に、元気がない、食欲が落ちる、注射した場所が腫れる、軽い発熱、といった軽い副反応が出ることは、よくあります。多くは、数日で自然に治まるので、安静にして様子を見てあげてください。ただし、注意したいのが、緊急の反応(アナフィラキシー)です。顔(目や口のまわり)が腫れる、嘔吐や下痢、ぐったりする、じんましん、呼吸が苦しそう、といった症状が、接種後、短時間(多くは1時間以内など)で出たときは、命に関わることがあるので、すぐに動物病院を受診してください。こうした反応にすぐ対応できるよう、ワクチンは午前中に接種し、当日は様子を見られるようにしておくと安心です。

Q. 室内飼いでも、ワクチンは必要ですか?

A. 必要です。「外に出ないから」と思っても、ウイルスは、飼い主さんの靴や衣服、他の犬との間接的な接触などを通じて、家の中に持ち込まれます。とくに、パルボウイルスは、環境の中で非常に強く、長く生き残るため、油断できません。そして、狂犬病ワクチンは、室内飼いであっても、法律上の義務です。混合ワクチンについては、「抗体検査」で体に十分な免疫が残っているかを調べ、接種時期の参考にする、という考え方もあります(ただし、狂犬病は法律で決まっているので、抗体検査で代わりにはできません)。室内飼いの子の接種方針も、かかりつけの獣医師と、よく相談して決めましょう。

本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

この記事を書いた人

柴犬のシロと暮らして10年。ペットホテル選びで何度も失敗した経験から、このメディアを立ち上げました。愛犬が安心して過ごせる預け先を、飼い主さんと一緒に探していきます。