犬が寝る前にくるくる回るのはなぜ?本能と注意点をイメージできる記事のメイン画像

犬が寝る前や排泄の前にくるくる回るのは、多くが、祖先から受け継いだ本能によるもので、心配いりません。ベッドに入る前、その場でくるくる、くるくる……。何周かしてから、やっと伏せて眠る愛犬。「どうして回るの?」と、不思議に思ったことはありませんか。ですが、シニア犬の目的のない旋回など、注意したいケースも。犬がくるくる回る理由と、正常な行動・注意したい旋回の見分け方を解説します。

犬が寝る前にくるくる回る本能的な理由

犬が寝る前にくるくる回る本能的な理由

犬が寝る前にくるくる回るのは、祖先である野生の犬やオオカミ時代から受け継いだ本能によるもので、次のような意味があるといわれます。

  • 寝床を整える…野生時代、寝る前に、草や落ち葉を踏み倒して、平らな寝床を作った名残
  • 安全の確認…伏せる前に、周囲に危険がないか、ぐるりと確かめる防衛本能。虫やヘビを追い払う意味もあったとも
  • 快適な位置・向きの調整…体温や、風の向きなどにあわせて、いちばん落ち着く向きを探している
  • 安心するための儀式…自分のにおいをつけ、「さあ寝るぞ」と気持ちを落ち着ける、いわばルーティン

どれも、犬にとって、ごく自然な行動です。ちなみに、排泄の前にくるくる回るのも、同じように、場所やにおいの確認、無防備になる前の安全確認、という本能によるものと考えられています。基本的には、微笑ましく見守ってあげてください。

地磁気に体を合わせるという面白い説

地磁気に体を合わせるという面白い説

地磁気については、犬が排泄のとき体を南北の軸に合わせる傾向があるという、興味深い研究があります。2013年に発表され、翌2014年に「イグ・ノーベル賞」(人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞)を受賞した研究で、犬は、排泄をするとき、地球の磁気(地磁気)の「南北の軸」に、体を合わせる傾向がある、と報告されて話題になりました。

くるくる回るのも、この「ちょうどよい向き(南北)」を探しているのでは、という見方もあります。とはいえ、これはまだ「一説」の段階で、はっきり証明されたわけではありません。「そんな説もあるのか」と、犬の不思議として楽しむくらいがちょうどよいでしょう。いずれにせよ、回ってから落ち着いて寝る・排泄するなら、心配はいりません。

注意したい「くるくる」|正常な儀式との見分け

注意したい「くるくる」|正常な儀式との見分け

くるくる回る行動の多くは正常ですが、注意したいのは次のような回り方で、正常な儀式的な回転と見分けてあげましょう。

  • シニア犬が、急に・目的なく、ぐるぐる回り続ける…とくに、同じ方向にばかり回る場合は、認知症(認知機能の低下)や、脳・神経の病気のサインのことがあります
  • 首を傾け、ふらつき、眼が小刻みに動く(眼振)、嘔吐をともなう旋回…前庭疾患(平衡感覚の異常)など、神経のトラブルの可能性。受診を
  • お尻を気にして回る・床にこすりつける…肛門腺のトラブルや、皮膚・耳のかゆみのことも
  • 何度も回るのに、なかなか落ち着いて伏せられない…寝床が不快、または、関節などの痛みのサインかもしれません

ポイントは、「寝る前・排泄前の、数回の儀式的な回転」なのか、「目的なく・ずっと・同じ方向に回り続ける」のか。前者は正常、後者は注意です。とくに、シニア犬の目的のない旋回や、首の傾き・ふらつきをともなう回転は、病気のサインのことがあるので、動物病院を受診してください。なお、自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回るのは、また別の行動です。

柴田ママ
柴田ママ@shibata_mama
執筆者のひとこと

知人のシニア犬が、あるときから、部屋の中を同じ方向にぐるぐる回るようになったそうです。「寝る前のくるくるとは、なんだか様子が違う」と気づいて受診したら、認知症の始まりでした。早めにケアを始められて、よかったと。「いつものくるくる」と「なんだか変な旋回」は、飼い主だからこそ気づける違い。日ごろの様子を知っておくことが、大事ですね。

まとめ

犬が寝る前や排泄の前にくるくる回るのは、寝床を整える、安全を確認する、快適な向きを探す、安心のための儀式、といった、祖先から受け継いだ本能によるもので、多くは正常な行動です。排泄のとき、地磁気の南北軸に体を合わせる、という面白い説(2013年発表・2014年イグ・ノーベル賞の研究)もありますが、これは一説の段階。回ってから落ち着いて寝る・排泄するなら、心配いりません。一方、注意したいのは、シニア犬が目的なく・同じ方向にぐるぐる回り続ける(認知症や脳・神経の病気)、首を傾け・ふらつき・眼振・嘔吐をともなう旋回(前庭疾患など)、お尻を気にして回る(肛門腺)、何度も回るのに伏せられない(寝床の不快や痛み)、といったケース。「いつもの儀式」と様子が違う旋回は、動物病院を受診してください。

「犬 くるくる回る」についてのFAQ

Q. 犬が寝る前に、必ずくるくる回ります。やめさせるべき?

A. やめさせる必要はありません。寝る前のくるくるは、祖先が寝床の草を踏み倒して整えたり、周囲の安全を確認したりした、本能の名残と考えられています。快適な向きを探したり、「さあ寝るぞ」と気持ちを落ち着けたりする、いわば入眠のルーティン。ごく自然な行動なので、微笑ましく見守ってあげてください。回ってから、落ち着いて伏せて眠るなら、まったく問題ありません。ただし、何度回っても落ち着けない様子があれば、寝床が不快だったり、痛みがあったりするサインのことも。そのときは、寝床を見直してあげましょう。

Q. 排泄の前にも、くるくる回ります。これも本能ですか?

A. はい、同じように本能によるものと考えられています。排泄のときは無防備になるため、その前に、周囲に危険がないか、ぐるりと確認していると言われます。場所やにおいの確認、という意味もあるようです。面白い説として、2013年に発表され翌2014年にイグ・ノーベル賞を受賞した研究で、犬は排泄時に地磁気の「南北の軸」に体を合わせる傾向がある、と報告されています。くるくる回るのは、その「向き」を探しているのかもしれません。ただし、これは一説の段階。回ってきちんと排泄するなら、心配いりません。

Q. 年をとった犬が、ぐるぐる回り続けます。認知症でしょうか?

A. その可能性があります。寝る前や排泄前の、数回の儀式的な回転とは違い、シニア犬が、急に・目的なく・同じ方向にぐるぐる回り続ける場合は、認知症(認知機能の低下)や、脳・神経の病気のサインのことがあります。とくに、首を傾ける、ふらつく、眼が小刻みに揺れる、嘔吐をともなう、といったときは、前庭疾患など神経のトラブルの可能性も。「いつものくるくる」とは様子が違う、と感じたら、一度、動物病院を受診してください。早めに気づいてケアを始めることが大切です。

Q. くるくる回る本能を、なくさせない方がいいですか?

A. 無理になくさせる必要はありません。寝る前や排泄前のくるくるは、犬にとって自然で、安心につながる行動です。むしろ、思う存分できるように、安全で快適な環境を整えてあげるのがおすすめ。滑らないマットを敷く、落ち着ける寝床を用意する、などです。ただし、フローリングなどで滑って、回るときに足腰に負担がかかることはあるので、そこは配慮を。そして、「儀式的なくるくる」ではなく、「目的のない、ずっと続く旋回」が見られたら、それは別のサインのことがあるので、様子をよく見てあげてください。

本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

この記事を書いた人

柴犬のシロと暮らして10年。ペットホテル選びで何度も失敗した経験から、このメディアを立ち上げました。愛犬が安心して過ごせる預け先を、飼い主さんと一緒に探していきます。