犬が上に乗ってくるのは、多くが甘えや安心したい気持ちのあらわれで、順位を主張しているわけではありません。ソファでくつろいでいると、いつのまにか愛犬がひざの上や体の上にちょこん。あのぬくもりと重みが、たまらなく愛おしいですね。犬が飼い主の上に乗ってくるのは、その多くが甘えや、安心したい気持ちのあらわれです。「上に乗る=自分のほうが偉いと思っている?」といった心配は、基本的にいりません。でも、乗ってくる気持ちの中身や、ときにはルールを決めたほうがいい場面を知っておくと、もっと安心して受け止められます。
犬が上に乗ってくるのはどんな気持ち?
犬が上に乗ってくるとき、ひざや体に乗るその気持ちは、こんなものが多いようです。
- 甘え・スキンシップ…大好きな飼い主とくっついて、安心したい・かまってほしい気持ち
- 不安を感じている…こわいことがあったときなど、密着することで落ち着こうとしています
- あたたかいから…飼い主の体は、犬にとって心地よいぬくもり。とくに寒い時期に多くなります
- 要求…「遊んで」「ごはん」など、注目してほしいときのアピール
- 一緒に眠りたい…信頼する相手のそばは、安心して眠れる特等席です
- まれにマウンティング…興奮やストレスから、腰を振るような動きを伴うことも(後述)
どれも、飼い主を信頼し、そばにいたいという気持ちがベース。乗ってくる場所(ひざ・お腹・足元など)によっても、甘えの度合いが少しずつ違うと言われますが、共通しているのは「あなたが好き」という思いです。
「上に乗る=順位が上」は本当?
「上に乗る=順位が上」という説は、近年では否定的にとらえられるのが主流です。ひと昔前は、「犬が人の上に乗るのは、自分のほうが立場が上だと思っているから」という説(いわゆる支配性・順位づけの考え方)が語られることがありました。ですが、近年ではこの見方は否定的にとらえられるのが主流になっています。
今では、犬が家族に対して上下関係を主張して上に乗る、という考え方には否定的な意見が多く、むしろ甘えや安心を求める行動として理解されています。ですので、「乗らせるとわがままになる」「なめられる」と心配して、神経質にやめさせる必要は基本的にありません。愛犬が乗ってきたら、素直に甘えを受け止めてあげて大丈夫です。ただし、次に挙げるようなケースでは、少しルールを決めるとよいこともあります。
上に乗るのはやめさせたほうがいい?
上に乗るのをやめさせたほうがよいのは、次のような場合です。基本的には甘えなので問題ありませんが、次のような場合は、やんわりコントロールしたほうがお互い快適に過ごせます。
ひとつは、マウンティングを伴うとき。乗って腰を振るような動きは、興奮やストレスが背景のことがあり、頻繁なら、興奮させすぎない・ほかの遊びに気をそらすなどの工夫を。ふたつめは、要求がエスカレートして、乗せてもらえないと吠える・噛むなど困った行動が出る場合。このときは、乗るタイミングにゆるいルール(呼んだら乗る、など)を設けると落ち着きます。ほかにも、来客に飛び乗ってしまう、体が大きく飼い主の負担になる、運転中など危険な場面、といったときは、控えさせたほうが安全です。やめさせるときも、叱るのではなく「別の場所で落ち着けたら褒める」と、前向きに教えてあげましょう。

「甘やかすと上下関係が…」と気にする方もいますが、乗ってくるのはただただ「そばにいたい」だけ。あまり難しく考えず、受け止めてOKだと思います。ただ、うちは大型犬なので、さすがに全体重で乗られると…!そこだけは、やさしくルールを決めています。
急に乗る・密着が増えたときの注意点
急に乗る・密着が増えたときは、不安な出来事や体の不調が隠れていることもあり、少し気を配りたいサインです。いつもの甘えなら微笑ましいものですが、「最近やけにべったりしてくるな」という急な変化には、注意してあげたいところです。
急に密着したがるようになった背景には、雷や来客、引っ越しといった不安な出来事のこともあれば、体のどこかの違和感が隠れていることもあります。というのも、犬は具合の悪さを言葉で訴えられないぶん、ぴったり寄り添うことで不調を知らせている場合があるからです。乗ってくる回数が増えたのと同時に、ごはんの食いつきが落ちた・動きが鈍い・抱くと嫌がる場所がある、などが見られたら、体のサインかもしれません。念のため動物病院で診てもらいましょう。「いつもと違うくっつき方」は、犬からのちょっとした便りだと思って、目を向けてあげてください。
まとめ
犬が飼い主の上に乗るのは、たいてい「そばにいたい」という素直な気持ち。甘えやスキンシップ、不安を落ち着けたい思い、ぬくもり、要求、一緒に眠りたい気持ちなどが理由で、その多くは信頼と愛情のあらわれです。「上に乗る=順位が上と思っている」という支配性の説は、近年では否定的にとらえられるのが主流で、神経質にやめさせる必要はありません。ただし、マウンティングを伴う、要求がエスカレートする、来客に飛び乗る、大きな体で負担になる、運転中などのケースでは、叱らずにゆるくルールを決めると安心です。そして、急に密着が増え、元気食欲の低下などを伴うときは、体調の変化のことも。愛犬の甘えを受け止めつつ、いつもと違う様子には気を配ってあげてくださいね。
「犬 上に乗る」についてのFAQ
Q. 犬が飼い主の上に乗ってくるのは、どんな気持ちですか?
A. 多くは「そばにいたい」「甘えたい」という気持ちです。おもしろいことに、乗る場所にも気分が出るとされ、ひざは安心と甘え、お腹の上は深い信頼、足元は「ほどよい距離で見守りたい」タイプ、などと言われることも。寒い時期に増えるなら、単純にあたたかさを求めていることもあります。いずれも根っこは信頼と愛情なので、基本はうれしい行動として受け止めて大丈夫です。
Q. 上に乗せると「わがまま」になったり「なめられ」たりしませんか?
A. 基本は心配いりません。「乗せると順位が下に見られる」という考え方は昔よく言われましたが、今では否定的な見方が主流です。乗ってくるのは甘えであって、上下関係の主張ではないからです。ただし、乗せてもらえないと吠える・催促がしつこい、という場合は、甘えというより要求のクセ。そのときは「呼んだら乗る」「マテができたら抱っこ」など、簡単なルールをはさむと、お互い心地よく付き合えます。
Q. 乗ってきて腰を振るのですが、これは何ですか?
A. マウンティングと呼ばれる行動で、興奮やストレスが背景にあることが多いです。必ずしも性的な意味だけでなく、テンションが上がったときや、気持ちが落ち着かないときにも見られます。ときどきなら過度に心配いりませんが、頻繁なときは、興奮させすぎない、別の遊びやおもちゃに気をそらす、といった対応を。叱ると逆に興奮することもあるので、落ち着けたら褒める、を心がけてみてください。
Q. 最近、急にべったり乗ってくるようになりました。大丈夫でしょうか?
A. ふだんクールな子の急な変化は、ちょっと注目したいサインです。多いのは雷・来客・引っ越しなど環境の不安ですが、体のどこかに違和感がある可能性も。チェックしたいのは、乗ること以外の変化——食欲、歩き方、抱いたときに嫌がる場所がないか、です。こうした変化がなく、ただ甘えたいだけのようなら、そのぬくもりを楽しんで大丈夫。気になる様子があれば、動物病院で相談してみてください。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。