犬の便秘は、水分や運動の不足、ストレスなど、軽い原因のことも多いもの。ですが、なかには、便秘とよく似ていて、じつは一刻を争う病気のことも。愛犬が、うんちが出ないみたい……トイレでいきんでいるのに出ない姿を見ると、心配になりますよね。とくに「うんち」ではなく「おしっこ」が出ていないときは、緊急です。犬の便秘の原因と、見分け方、家庭でできる対処、受診の目安をまとめます。
便秘と思う前に|うんち?おしっこ?
便秘を疑う前に確かめたいのは、いちばん大切な切り分けで、出ないのがうんちなのか、おしっこなのかです。犬が、トイレでいきんだり、何度も構えたりして「出ない」とき、それが「うんち(便)」なのか、「おしっこ(尿)」なのかを、必ず確認してください。
じつは、「おしっこが出ていない」場合は、尿道が詰まる「尿道閉塞」という、命に関わる緊急事態のことがあります(結石などが尿道を塞ぎ、数時間〜1日で急性腎不全を起こすことも)。おしっこが半日以上出ていない、少量を何度もする、陰部を気にする、元気がない——こうしたときは、便秘の対処をしている場合ではありません。すぐに動物病院を受診してください。以下は、「便(うんち)が出ない=便秘」の話です。
便秘とは|正常の目安と、便秘のサイン
便秘は「何日出なければ便秘」という厳密な決まりはなく、その子のいつものリズムから、変化しているかで見るのが正確です。健康な犬の排便は、1日1〜3回ほどが目安です(個体差や食事で幅があります)。次のようなときは、便秘を疑います。
- 2〜3日、便が出ない(ふだん毎日出る子が、3日以上出ないなど)
- 便が硬く、コロコロして小さい・乾いている
- 排便のときに、痛がる・鳴く
- いきむのに、出ない・少ししか出ない、何度もトイレの姿勢をとる
丸1日以上まったく出ない、いつものリズムが崩れた、というときは、注意して見てあげましょう。
【注意】便秘に見えて緊急な病気
便秘のようでも、次のようなサインをともなうときは、緊急の病気のことがあります。
| こんなとき | 疑うこと |
|---|---|
| おしっこが出ていない・陰部を気にする | 尿道閉塞(命に関わる緊急) |
| いきむのに出ない+嘔吐・ぐったり・お腹が張る | 腸閉塞(異物の誤飲など・緊急) |
| お尻の横が膨らむ・便が出にくい(中高齢の未去勢オス) | 会陰ヘルニア |
| 便秘を繰り返す・便が大量に溜まる | 巨大結腸症など |
とくに、いきんでも何も出ず、嘔吐やぐったり、お腹の張りをともなうときは、異物の誤飲などによる腸閉塞の疑いで、緊急です。また、お尻の横が膨らみ、便が出にくい中高齢の未去勢オスは、会陰ヘルニアのことも。これらは、家庭のケアで様子を見るのではなく、動物病院を受診してください。
便秘の原因と、家庭でできる対処
一般的な便秘の原因は、水分不足、食物繊維の不足や食事の偏り、運動不足、トイレのストレスや我慢、加齢など。毛玉や異物の誤飲、内臓の病気が背景のこともあります。全身の症状がなく、軽い便秘なら、家庭でのケアを試してみましょう。
- 水分をしっかりとらせる…新鮮な水を複数の場所に。水をあまり飲まない子には飲ませ方の工夫を。ウェットフードや、ドライフードをぬるま湯でふやかすのも有効
- 適度な食物繊維…さつまいもやかぼちゃを、皮をむいて、少量トッピングから(繊維のとりすぎは、逆に詰まるので注意)
- 運動・散歩…体を動かすと、腸の動きが促されます
- トイレ環境を整える…清潔で、静かに落ち着ける場所に。我慢させない
- お腹を、やさしくマッサージ…「の」の字を描くように、そっと
そして、絶対にやってはいけないのが、人間用の下剤・浣腸・便秘薬を、自己判断で使うこと。犬には、用量や成分が合わず、危険です。オイルやサプリの安易な投与、無理にいきませる・自己流の摘便も、やめてください。全身の症状(嘔吐・ぐったりなど)があるのに、家庭ケアで粘るのも禁物です。

散歩仲間の犬が便秘がちで、飼い主さんが「人間の浣腸を使おうかな」と言っていたので、あわてて止めました。獣医さんに相談したら、水分とさつまいも少しで様子を見て、それでも出なければ受診、と言われたそうです。よかれと思っても、人間用の薬は危ないんだと、あらためて思いました。
受診の目安と、まとめ
次のようなときは、動物病院を受診してください。2〜3日以上まったく出ない、いきむのに出ない、嘔吐・食欲不振・ぐったり・お腹の張り・痛がる、便に血が混じる、便秘を繰り返す、シニアや未去勢オス、誤飲の可能性がある、そしておしっこが出ていない(最優先・緊急)。
まとめると、犬の便秘で、まず大切なのは、「うんちが出ない」のか「おしっこが出ない」のかを切り分けること。おしっこが出ていないのは、尿道閉塞という命に関わる緊急事態なので、すぐ受診を。便秘の目安は、いつものリズムからの変化で、2〜3日出ない・硬い・いきむのに出ないなど。いきんでも出ず嘔吐やぐったりをともなうなら腸閉塞、お尻の横が膨らむ未去勢オスは会陰ヘルニアの疑いで、緊急です。軽い便秘には、水分、適度な食物繊維(さつまいも等を少量)、運動、トイレ環境の見直しを。人間用の下剤・浣腸の自己判断使用は、危険なのでNG。全身症状をともなう、繰り返す便秘は、受診してください。
「犬 便秘」についてのFAQ
Q. 犬のうんちが、何日出なかったら便秘・受診ですか?
A. 「何日で便秘」という厳密な決まりはなく、その子のいつものリズムからの変化で見ます。健康な犬の排便は、1日1〜3回が目安。ふだん毎日出る子が、2〜3日出ない、便が硬くコロコロ、いきむのに出ない、というときは、便秘を疑います。丸1日以上まったく出ないときは、注意を。受診の目安は、2〜3日以上出ない、いきむのに出ない、嘔吐・食欲不振・ぐったり・お腹の張り・痛がる、血が混じる、繰り返す、といった場合です。そして、いちばん大切なのは、「おしっこ」が出ていないなら、尿道閉塞という緊急事態のことがあるので、便秘と思わず、すぐ受診してください。
Q. 便秘に、家でできることはありますか?
A. 全身の症状がなく、軽い便秘なら、家庭のケアを試せます。まず、水分をしっかりとらせること(水を複数の場所に、ウェットフードや、ドライをぬるま湯でふやかす)。適度な食物繊維として、さつまいもやかぼちゃを、皮をむいて少量トッピングするのも有効です(ただし、繊維のとりすぎは、逆に詰まるので少量から)。運動や散歩で腸の動きを促す、トイレ環境を清潔で落ち着けるものにする、お腹を「の」の字にやさしくマッサージする、なども。ただし、人間用の下剤や浣腸を、自己判断で使うのは、危険なのでNGです。数日出ない、嘔吐やぐったりをともなう、というときは、家庭ケアで粘らず、受診してください。
Q. トイレでいきんでいるのに出ません。便秘でしょうか?
A. まず、「うんち」がしたいのか、「おしっこ」がしたいのかを、確認してください。というのも、おしっこが出ていない場合は、尿道が詰まる「尿道閉塞」という、命に関わる緊急事態のことがあるからです。おしっこが半日以上出ていない、少量を何度もする、陰部を気にする、元気がない、というときは、すぐに受診してください。うんちが出ない便秘の場合でも、いきんでも何も出ず、嘔吐やぐったり、お腹の張りをともなうときは、腸閉塞(異物の誤飲など)の疑いで、これも緊急です。単なる便秘か、緊急の病気かは、家庭では見分けが難しいので、いきむのに出ない状態が続く、ほかの症状がある、というときは、動物病院を受診してください。
Q. シニア犬や、去勢していないオスの便秘で、気をつけることは?
A. どちらも、注意したい背景があります。シニア犬は、腸の動きや筋力、飲水量が落ちて、便秘になりやすいもの。加えて、便秘の陰に、内臓の病気などが隠れていることもあるので、繰り返す・長引くときは、受診しましょう。そして、中高齢の、去勢していないオスで、便が出にくい、平たい便が出る、お尻の横が膨らむ、というときは、「会陰ヘルニア」の可能性があります。これは、肛門の脇の筋肉のすき間から、直腸などが飛び出す病気で、便秘や排便困難が主な症状です。前立腺肥大が背景のことも。放置せず、動物病院で相談してください。日ごろから、水分と運動、便の様子のチェックを心がけましょう。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。