犬が穴を掘る(掘るしぐさをする)のは、多くが本能に根ざした自然な行動で、屋外で実際に掘るのと室内で掘るしぐさをするのとでは理由も対応も少し変わります。せっかく手入れした庭が、気づけば穴だらけ。あるいは、寝る前にベッドをせっせと掘るしぐさに、首をかしげたことはありませんか。犬が穴を掘る理由と、やめさせ方、そして注意したいケースまで解説します。
犬が穴を掘る理由と掘りやすい犬種
犬が穴を掘る・掘るしぐさをするのには、こんな理由があります。
- 巣作り・寝床づくり…快適な寝床を作ろうとする本能。涼しい・暖かい場所を掘って整えます
- 体温調節…夏は土を掘って涼しい地面を出し、冬は暖かい場所を作る
- 食べ物や物を隠す・探す…大切なものを土に埋めて隠す、祖先からの習性
- 狩猟本能…地面の下の小動物(モグラなど)を追う。特定の犬種で強く出ます
- 退屈・エネルギー発散…運動や刺激が足りないときの、はけ口として
- ストレス・不安、要求…不安をまぎらわせる、あるいは「かまって」の気持ちから
とくに、ダックスフンドやテリア種など、地中の獲物を狩るために改良された犬種は、穴掘りへの意欲が強い傾向があります。まずは、屋外と室内、それぞれのケースを見てみましょう。
屋外の穴掘りと、室内の「ホリホリ」の違い
穴掘りは、同じ掘る行動でも、屋外か室内かで意味あいが変わります。
屋外(庭・土)で実際に穴を掘る場合は、狩猟本能、体温調節、食べ物隠しといった、より本能的な理由が中心です。エネルギーの発散にもなっています。ただし、柵の下を掘る場合は「脱走したい」サインのことも。室内で、ベッド・布団・ソファ・床を前足でホリホリする場合は、土がないので、実際には掘れず「しぐさ」で終わります。これは多くが、寝る前に寝床を整える儀式や、安心できる場所づくり、飼い主のにおいへの愛着によるもの。基本的には無害な行動です。ただし、敷物を掘りすぎて、前足の爪や肉球を傷めることがあるので、そこだけ注意してあげましょう。
穴掘りのやめさせ方|叱るより掘ってよい場所
穴掘りをやめさせたいときは、叱らないのが基本で、寝る前のホリホリなど無害なものは無理にやめさせる必要はありません。というのも、叱っても、穴を掘りたくなる根本の理由(退屈や本能)は消えないため、多くは解決になりません。むしろ、隠れて掘るようになったり、飼い主との関係がぎくしゃくしたりすることも。次のような方法が有効です。
- 運動・刺激を増やす…散歩や遊びで十分な運動量を確保し、知育トイなどでエネルギーと退屈を発散させる(多くの穴掘りは、これで減ります)
- 「掘ってよい場所」を用意する…庭の一角に、砂場や掘り用のスペースを作ってあげると、そこで思う存分掘って満足できます。掘っていい場所で掘れたら、褒めてあげましょう
- 掘られたくない場所はブロック…柵やマットで、物理的に掘れないようにする
- 原因を取り除く…暑さで掘るなら涼しい場所を、脱走目的なら柵の補強と運動を

友人の家のテリアが、庭を掘りまくって困っていたのですが、庭の隅に「掘っていい砂場」を作ったら、ぴたりと他の場所を掘らなくなったそうです。「ダメ」と叱るより、「ここならいいよ」と代わりの場所をあげるほうが、犬も飼い主もストレスが少ない。なるほどなと思いました。
注意したい穴掘り|相談の目安
穴掘りのほとんどは心配いりませんが、次のような場合は、背景に別の理由があることもあります。
- 過剰に・何時間も、取りつかれたように掘り続ける…強いストレスや、常同行動(同じ行動を繰り返さずにいられない状態)の可能性
- シニア犬が、急に穴掘り(掘るしぐさ)を始めた…認知症(認知機能の低下)のことがあります
- 柵の下をしつこく掘る…脱走願望のあらわれ。事故につながる前に、環境の見直しを
- 掘って前足から出血している、怪我をしている
とくに、高齢になってから急に始まった穴掘りや、いくら発散させても収まらない過剰な穴掘りは、一度動物病院で診てもらいましょう。体や心の不調が隠れていないかを確認すると安心です。
まとめ
覚えておきたいのは、穴掘りの多くは、無理にやめさせなくてよい自然な行動だということです。背景には、巣作り、体温調節、食べ物隠し、狩猟本能、退屈やストレスの発散などがあり、ダックスやテリアなど掘る意欲が強い犬種もいます。ポイントは、屋外で実際に掘るのは本能的な理由が中心、室内でベッドや布団をホリホリするのは寝床整えや安心の儀式で無害なことが多い、という違い。困った穴掘りは、叱らずに、運動と刺激で発散させ、「掘ってよい場所」を用意するのが効果的です。ただし、何時間も取りつかれたように掘る、シニアで急に始まった、柵の下を掘って脱走したがる、といったときは、ストレスや常同行動、認知症などのサインのことも。気になるときは、一度かかりつけに相談してください。
「犬 穴を掘る」についてのFAQ
Q. 犬が庭に穴を掘って困ります。やめさせるには?
A. まず、叱るのは避けてください。穴掘りの多くは、退屈やエネルギーの余りが原因なので、散歩や遊び、知育トイで発散させると減ることが多いです。そのうえでおすすめなのが、庭の一角に「掘ってよい場所(砂場など)」を作ってあげること。そこで掘れたら褒めると、犬はそこで満足し、他の場所を掘らなくなっていきます。掘られたくない場所は、柵やマットで物理的にブロックを。「ダメ」より「ここならOK」と教えるのがコツです。
Q. 寝る前に、ベッドや布団を前足でホリホリします。大丈夫?
A. まったく問題ありません。これは、野生時代に寝床を掘って整えた名残で、「寝床づくり」の儀式のようなもの。快適に眠るための準備であり、飼い主のにおいのする安心できる場所への愛着でもあります。無理にやめさせる必要はなく、微笑ましく見守ってあげてください。ただ、掘りすぎて敷物がボロボロになったり、前足の爪や肉球を傷めたりすることがあるので、そこだけは気にかけて、必要なら丈夫な素材の寝床にしてあげましょう。
Q. 掘りやすい犬種はありますか?
A. あります。もともと地中の獲物を狩るために改良された犬種は、穴掘りへの意欲が強い傾向があります。代表的なのが、ダックスフンドや、テリア系の犬種です。これらの子にとって、穴を掘るのは本能に根ざした、いわば「得意なこと」。頭ごなしに禁じるより、掘ってよい場所を用意するなど、本能を上手に満たしてあげるほうが、ストレスをためずにすみます。犬種の特性を知っておくと、対応の見通しが立てやすくなります。
Q. 年をとってから、急に穴掘りやホリホリを始めました。
A. 「急に始まった」のがポイントです。子犬のころからの習慣ではなく、シニアになって突然、取りつかれたように掘り出した場合は、認知症(認知機能の低下)が背景にあることがあります。混乱や不安から、目的なく同じ動作を繰り返してしまうのです。まずは、かかりつけの動物病院で、体の不調がないかもあわせて診てもらうと安心です。そのうえで、日中の散歩や日光浴で昼夜のメリハリをつけると、夜に落ち着いて休みやすくなることがあります。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。