犬のよだれが多いのは、多くが生理的なもので心配いりませんが、熱中症や中毒など急いで対応すべき病気が隠れていることもあります。よだれは、食べ物を見たときや、暑いとき、緊張したときなど、健康な犬でも出る生理現象です。ですが「いつもより多い気がする」と感じたとき、その裏に、急を要する病気が隠れていることもあります。多くは心配いりません。ですが、なかには、熱中症や中毒、口の中のトラブルなど、急いで対応すべきサインのことも。犬のよだれが多い原因と、まず見るべき緊急サイン、受診の目安を解説します。
よだれの緊急サイン|すぐ受診すべき様子
よだれの多くは心配いりませんが、次のような様子をともなうときは、急いで動物病院へ。命に関わることもあるので、最初に確認してください。
- 急に大量のよだれ+ぐったり・呼吸が荒い・舌が赤い…熱中症の疑い。進行が速く、危険です
- よだれ+嘔吐・震え・けいれん…中毒の疑い(有害なものを口にした心当たり)
- お腹が張る+吐こうとして吐けない+よだれ…胃がねじれる病気(胃拡張・胃捻転)の疑い。大型犬・胸の深い犬で、数時間を争う緊急です
- 口を気にする・前足で口をかく・食べられない…口の中に異物が刺さっている・強い痛みのことも
- 片側だけ大量に出る、血や強い悪臭が混じる、飲み込めない
これらは、様子を見ずに受診が必要なサイン。とくに、中毒が疑われるときは、口にしたものの容器やパッケージを持って行くと、治療の助けになります。自己判断で吐かせようとせず、動物病院の指示に従ってください。
心配のいらないよだれと、注意したいよだれ
心配のいらないよだれと注意したいよだれは、きっかけの有無や性状で見分けられます。緊急サインがなければ、次に、生理的なもの(心配が少ない)か、注意したいものかを見分けましょう。
- 心配の少ないよだれ…食べ物を見て・食事の前、暑いとき・運動後、緊張・興奮・車酔いの前、睡眠中に少し垂れる程度。きっかけがあり、一時的
- 注意したいよだれ…いつもより急に増えた、片側だけ多い、悪臭・血・膿・泡が混じる、飲み込めない・食べられない、ほかの症状(嘔吐・下痢・ぐったり)をともなう
ポイントは、「ふだんの量と比べてどうか」「よだれの性状(血・悪臭・泡)」「ほかに症状はないか」。見分けるためにも、ふだんの、その子のよだれの量を、知っておくとよいでしょう。
よだれが多いときに考えられる原因
病的なよだれには、さまざまな原因があります。
| 原因 | 疑い・緊急度 |
|---|---|
| 歯周病・口内炎・口の中のできもの | 口臭・出血・食べづらさ/早めに受診 |
| 口の中の異物(骨・木片が刺さる) | 口を気にする・片側/早めに受診 |
| 吐き気・胃腸の不調 | よだれ→嘔吐の順・食欲不振 |
| 熱中症・中毒・胃捻転 | ぐったり・けいれん・腹部膨満/緊急 |
| 顎の下の腫れ(唾液腺の病気) | 喉や顎の下がブヨブヨ腫れる |
もっとも身近なのは、歯周病や口内炎など、口の中のトラブル。口臭や、顎がいつも濡れている、食べづらそう、といったサインをともないます。また、腎臓の病気などで、体に老廃物がたまると、口内炎や吐き気から、よだれが増えることも。ほかに、あまり知られていませんが、顎の下や喉が、ブヨブヨと腫れる(唾液腺の病気)こともあります。

友人の犬が、あるとき急によだれを垂らし、片側の口を気にしていたそうです。見てみると、奥歯のあたりに、細い木の枝が挟まっていたとか。動物病院で取ってもらって、けろりと治ったそうですが、「口の中って、意外と見落とすね」と話していました。口の中は、飼い主でも、案外チェックが行き届かない場所なのかもしれません。
もともとよだれが多い犬種と、家庭でのケア
もともとよだれが多い犬種がいることも、知っておきましょう。パグ、フレンチブルドッグ、ボクサーなどの短頭種は、口の構造上、よだれが出やすいもの。また、セント・バーナードやマスティフ、ニューファンドランドなどの大型犬は、唇の形や唾液腺の関係で、日常的によだれが多めです。こうした子が、いつもどおりの量なら、心配いりません。
家庭でできるのは、まずふだんの口の中のチェック(月1回ほど)。歯ぐきの色、歯石や腫れ、できもの、出血、口臭を見ます(痛がる口を、無理にこじ開けないこと)。そして、熱中症予防(夏の温度・湿度管理、車内放置は厳禁、涼しい時間の散歩、水を飲めるように)、中毒予防(人の薬・チョコ・キシリトール・観葉植物・洗剤などを、届く場所に置かない)、デンタルケア(毎日の歯みがき、定期的な歯科チェック)を。よだれは、やわらかい布でやさしく拭き、口まわりの皮膚炎を防ぎましょう。ふだんと違う多さや、性状の異常に気づいたら、受診してください。
まとめ
まず大切なのは、緊急のよだれを見逃さないこと。急に大量のよだれ+ぐったり(熱中症)、よだれ+嘔吐・震え・けいれん(中毒)、お腹が張って吐けない(胃捻転=大型犬で数時間を争う)、口を気にして食べられない(口内の異物・痛み)は、すぐ受診してください。それ以外は、生理的か病的かを見分けます。食べ物を見て・暑いとき・緊張したときのよだれは、心配が少ないもの。一方、急に増えた、片側だけ、血や悪臭、飲み込めない、ほかの症状をともなう、というときは、歯周病や口内炎など口のトラブル、胃腸の不調、腎臓病、唾液腺の病気などのことがあります。パグや大型犬など、もともと多い犬種もいます。家庭では、口内チェック、熱中症・中毒予防、デンタルケアを。ふだんと違うよだれには、気をつけてあげてください。
「犬 よだれ 多い」についてのFAQ
Q. 犬のよだれが多いです。病気でしょうか?
A. よだれの多くは、心配いりません。食べ物を見たときや食事の前、暑いときや運動後、緊張・興奮したとき、車酔いの前などには、健康な犬でもよだれが出ます。パグなどの短頭種や、セント・バーナードなどの大型犬は、もともとよだれが多い犬種です。ただし、いつもより急に増えた、片側だけ多い、血や悪臭・泡が混じる、飲み込めない・食べられない、嘔吐やぐったりをともなう、というときは注意が必要。歯周病など口のトラブルや、胃腸・腎臓の病気などのことがあります。とくに、急に大量+ぐったり(熱中症)、嘔吐・震えをともなう(中毒)ときは、すぐに受診してください。
Q. どんなよだれのとき、すぐ病院に行くべきですか?
A. 次のときは、様子を見ずに、すぐ動物病院へ。①急に大量のよだれ+ぐったり・呼吸が荒い・舌が赤い(熱中症の疑い。進行が速く危険)。②よだれ+嘔吐・震え・けいれん(中毒の疑い)。③お腹が張って、吐こうとするのに吐けない+よだれ(胃がねじれる病気で、大型犬・胸の深い犬では数時間を争います)。④口をしきりに気にする・前足で口をかく・食べられない(口の中の異物や強い痛み)。⑤片側だけ大量、血や強い悪臭。これらは命に関わることもあります。中毒が疑われるときは、口にしたものの容器を持参し、自己判断で吐かせず、病院の指示に従ってください。
Q. 寝ているときのよだれは、大丈夫ですか?
A. 睡眠中に、よだれが少し垂れる程度なら、多くは心配いりません。リラックスして口元がゆるむためで、生理的なものです。とくに、短頭種や大型犬など、もともとよだれが多い犬種では、よく見られます。ただし、寝ているとき以外にも、起きているときに急によだれが増えた、量が明らかに多くなった、血や悪臭が混じる、口を気にする、食欲が落ちた、といった変化をともなうときは、口の中のトラブルなどが隠れていることも。寝ているときのよだれだけでなく、日中の様子や、口の中もあわせて見てあげましょう。気になる変化があれば、受診してください。
Q. よだれと一緒に、口のにおいがひどいです。原因は?
A. よだれに、強い口臭をともなうときは、口の中のトラブルが疑われます。もっとも多いのは、歯周病。歯石がたまり、歯ぐきが炎症を起こすと、口臭とよだれが増えます。ほかに、口内炎や、口の中のできもの、異物なども原因になります。また、腎臓の病気で老廃物がたまると、アンモニアのような口臭とよだれが出ることも。まずは、口の中を見て、歯石や、歯ぐきの赤み・腫れ、できもの、出血がないか確認を(痛がる口は無理に開けない)。強い口臭とよだれが続くときは、動物病院で、口の中や全身の状態を調べてもらいましょう。日ごろのデンタルケアも大切です。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。