犬のノミ・マダニ予防は、動物病院で処方される薬による通年の予防が基本で、SFTSなど人にもうつる感染症を防ぐためにも、室内飼いでも欠かせません。毎年のノミ・マダニ予防、きちんとできていますか。「かゆいだけでしょ」と思われがちですが、じつは、ノミやマダニは、犬にとってはもちろん、飼い主さん自身にとっても、危険な感染症を運ぶことがあります。とくにマダニは、人が命を落とすこともある病気を媒介することも。そして、室内飼いでも、冬でも、油断はできません。犬のノミ・マダニの害と、予防、見つけたときの正しい対処を、お伝えします。
ノミ・マダニの害|人にうつる感染症にも注意
ノミやマダニは、単なる「かゆい虫」ではありません。犬にも、人にも、さまざまな害をもたらします。
ノミの害は、激しいかゆみ、そしてノミアレルギー性皮膚炎(たった1匹でも、強いかゆみや脱毛を起こすことがある)、瓜実条虫(お腹の寄生虫)の媒介、大量に寄生すると貧血(とくに子犬・小型犬)など。
そして、とくに怖いのがマダニです。吸血によるかゆみや貧血に加えて、人にもうつる感染症を媒介します。なかでも、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、人が命を落とすこともある病気で、有効なワクチンや特効薬がありません。しかも、感染した犬や猫の血液・体液から、人にうつった事例も報告されています(=マダニを介さず、飼い犬から直接うつることも)。ほかにも、日本紅斑熱、ライム病、バベシア症(犬の重い貧血)などを運びます。ノミ・マダニ対策は、「愛犬を守る」と同時に、「家族=人を守る」ことでもあるのです。
予防の基本|動物病院の薬が確実
ノミ・マダニの予防と駆除の主力は、動物病院で処方される薬です。剤型は、大きく3つ。
- スポットタイプ(滴下)…首の後ろの皮膚に、液を垂らすタイプ
- 飲み薬(錠剤)…口から飲ませるタイプ
- チュアブル(おやつ状)…嗜好性が高く、効果が数か月続く製品もあります
投与の間隔は、製品によって、毎月、または数か月ごと。どの薬が、その子に合うか、頻度はどうかは、動物病院で相談して決めるのが確実です。獣医師が、体重や体質、生活に合わせて選んでくれるので、市販品より安心。予防薬は、切らさず、続けることが大切です。
予防はいつから?|冬も室内飼いも油断禁物
予防は、通年で行うのが安心です。「予防は夏だけ」と思っていませんか。ノミ・マダニは、一般に春〜秋(気温がおよそ13度を超える頃)に活発ですが、マダニは、冬でも活動します。近年は暖冬の傾向もあり、真冬の被害や、冬のマダニ感染症も報告されているため、通年での予防をすすめる動物病院が増えています。
また、「室内飼いだから大丈夫」も、油断は禁物です。ノミやマダニは、散歩のときや、人の衣服・靴について、家の中に持ち込まれます。とくにノミは、室内で繁殖することも。室内飼いの子にも、予防は必要です。愛犬の生活や地域に合わせて、いつからいつまで、どの頻度で予防するか、獣医師に相談しておきましょう。

友人が、室内飼いだからとノミ・マダニ予防をしていなかったら、散歩から帰った愛犬にマダニがついていて、あわてたそうです。「室内飼いでも、散歩で外に出れば付くんだね」と。獣医さんに相談して、通年で予防を始めたとのこと。人にうつる病気もあると知って、家族のためにも大事なんだと実感したそうです。
ノミ・マダニを見つけたときの正しい対処
マダニを見つけたとき、いちばんやってはいけないのが、無理に引き抜くことです。理由は、マダニの口の部分(口器)が、皮膚の中に残って、化膿や炎症、感染の原因になるから。また、つぶす・素手で触るのもNG(体液から、SFTSなどの感染リスクが上がります)。いちばん安全なのは、動物病院で取ってもらうこと。どうしても自分で取る場合は、専用のダニ取りリムーバーで、皮膚に垂直に、ゆっくり引きます。取ったあとも、数週間は、犬の体調(発熱・元気食欲の低下)と、触れた人の体調も観察し、異常があれば受診してください。
ノミを見つけたときは、目に見える成虫は、ごく一部。卵や幼虫が、寝床やカーペット、ソファなど、環境の中に大量に残っています。そのため、動物病院の駆除薬に加えて、こまめな掃除機がけや、寝具の洗濯・高温乾燥といった、環境の対策も必要です(完全な駆除まで、数か月かかることも)。ノミも、つぶさないこと(卵が飛び散ります)。そして、多頭飼いの場合は、全頭を同時に駆除・予防してください(1匹だけだと、また寄生します)。
まとめ
ノミ・マダニは、かゆみだけでなく、ノミアレルギー性皮膚炎や貧血、寄生虫、そしてマダニは、人が命を落とすこともあるSFTSなど、人にうつる感染症を媒介します。感染した犬から人へ直接うつった事例もあり、対策は「愛犬と家族」を守るケアです。予防の主力は、動物病院で処方されるスポット・飲み薬・チュアブルなどの薬で、その子に合うものと頻度は、獣医師に相談を。マダニは冬も活動し、室内飼いでも持ち込まれるので、通年・室内飼いでも予防が大切。マダニを見つけても、無理に引き抜かず・つぶさず、動物病院で取ってもらうのが安全です。ノミは、環境ごと(掃除・洗濯)、多頭飼いは全頭で対策を。日ごろは、散歩後の体チェック(耳・首・お腹・指の間など)を習慣にしましょう。
「犬 ノミ・マダニ」についてのFAQ
Q. ノミ・マダニの予防薬は、市販のものでもいいですか?
A. 動物病院で処方される薬のほうが、確実でおすすめです。市販のノミ・マダニ用品もありますが、動物病院の処方薬は、獣医師が、その子の体重・体質・生活に合わせて選んでくれるため、効果と安全性が、しっかり担保されます。剤型には、首の後ろに垂らすスポットタイプ、飲み薬、おやつ状のチュアブルなどがあり、シャンプーの頻度や、薬を飲むのが得意かどうかなど、生活に合わせて選べます。投与の間隔(毎月か、数か月ごとか)も、製品によって違います。どの薬が合うか、いつからいつまで予防するかは、かかりつけの動物病院で相談して決めましょう。予防薬は、切らさず続けることが大切です。
Q. 室内飼いでも、ノミ・マダニ予防は必要ですか?
A. 必要です。「室内飼いだから安心」とは言えません。ノミやマダニは、散歩のときや、飼い主さんの衣服・靴について、家の中に持ち込まれます。とくにノミは、いったん家に入ると、室内で繁殖してしまうことも。また、ベランダや庭に出る子も、注意が必要です。マダニが媒介するSFTSなどは、人にもうつる怖い感染症なので、室内飼いでも、予防はしておきたいところです。予防の頻度や時期は、その子の生活(散歩の有無、外出の頻度)や、住んでいる地域によって変わるので、動物病院で相談を。近年は、マダニが冬も活動することから、通年での予防をすすめる病院も増えています。
Q. 犬にマダニがついていました。取ってもいいですか?
A. 無理に引き抜かないでください。マダニを、指でつまんで無理に引き抜くと、口の部分(口器)が皮膚の中に残って、化膿や炎症、感染の原因になります。また、マダニをつぶしたり、素手で触ったりするのもNG。体液から、SFTSなどの感染リスクが上がるためです。いちばん安全なのは、動物病院で取ってもらうこと。専用の器具で、安全に除去してもらえます。どうしても自分で取る場合は、専用のダニ取りリムーバーを使い、皮膚に垂直に、ゆっくり引きましょう。そして、取ったあとも、数週間は、犬の発熱や元気・食欲の低下、そして触れた人の体調も観察し、異常があれば、動物病院や病院を受診してください。
Q. ノミを1匹見つけました。駆除すればいいですか?
A. 1匹見つかったら、その周りに、たくさんの卵や幼虫がいると考えて、対策してください。目に見える成虫のノミは、全体のごく一部で、卵・幼虫・さなぎが、寝床やカーペット、ソファなど、環境の中に大量に潜んでいます。ですから、犬の体のノミを取るだけでは不十分。動物病院の駆除薬を使うとともに、こまめな掃除機がけ、寝具や布類の洗濯・高温乾燥で、環境ごと駆除する必要があります(完全な駆除まで、数か月かかることも)。ノミは、つぶすと卵が飛び散るので、つぶさないこと。そして、多頭飼いの場合は、1匹だけでなく、全頭を同時に駆除・予防してください。再寄生を防ぐには、根気強い対策が大切です。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。