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犬の関節炎は、段差をためらう・立ち上がりが遅いといった生活の変化としてあらわれ、犬は痛みを隠すため見逃されやすい病気です。「最近、段差をためらうようになった」「ソファに登らなくなった」——愛犬のそんな変化を、「年のせいかな」と思っていませんか。じつは、それは、関節炎(関節の痛み)のサインかもしれません。しかも、加齢だけでなく、若い犬や小型犬でも起こります。犬の関節炎の、見逃しやすいサインと、家庭でできるケア、受診の目安を紹介します。
犬の関節炎|見逃しやすい初期サイン
関節炎で、まず要になるのは、初期のサインに気づくことです。犬は、本能的に痛みを隠すため、「痛い」と訴えず、代わりに、ふだんの生活の中の、ちょっとした変化として現れます。次のような様子は、ありませんか。
- 段差や階段を、ためらう・避ける、ソファや車に登らなくなった、ジャンプしなくなった
- 立ち上がりに時間がかかる、動き出しが硬い(とくに寝起きの、最初の数歩)
- 散歩を嫌がる、距離が短くなった、歩くのが遅い、すぐ座り込む
- 足を引きずる・かばう(走ったあとだけ引きずる、も初期のサイン)
- 関節を触ると嫌がる、抱き上げると痛がる・鳴く
- 寝ている時間が増えた、遊びへの反応が鈍い、特定の関節をなめる
これらは、わがままや、ただの老化ではなく、痛みのサインのことがあります。じつは、高齢の犬の4割ほどが関節症をもち、その半数近くは、飼い主さんが気づいていないともいわれます。気になる変化に気づいたら、その様子をスマホで動画に撮っておくと、動物病院での診断に役立ちます(診察室では、緊張して、痛みが分かりにくいことがあるためです)。
関節炎の原因|加齢だけでない若い犬・小型犬のリスク
犬の関節炎で、もっとも多いのは、加齢によって関節の軟骨がすり減る「変形性関節症」です。ただ、原因は、加齢だけではありません。
膝蓋骨脱臼(パテラ)や、股関節形成不全、前十字靭帯の断裂といった、もともとの関節のトラブルが進行して起こることも。また、肥満は、関節に負担をかけて、発症・悪化させる大きな要因です。ケガや、免疫の異常による関節炎もあります。ここで知っておきたいのが、「関節炎=高齢の犬の病気」とは限らないこと。パテラなどが引き金で、若い犬でも起こります。とくに小型犬は、体重が軽く、3本足でも普通に歩けてしまうため、発見が遅れがちです。「まだ若いから」「小さいから」と、油断しないであげてください。
「年のせい」にしないで|受診の目安
受診の目安は、歩き方の変化や、段差を嫌がる、痛がる素振りで、気づいたら「年のせい」で片付けずに、動物病院を受診してください。関節炎は、進行性の病気。早く見つけて、早くケアを始めるほど、進行を遅らせて、痛みをやわらげ、生活の質(QOL)を守ることができます。慢性の痛みは、静かに愛犬の元気を奪い、動かないことで、さらに筋力が落ちる悪循環にもつながります。
とくに、急に足を引きずる、触ると激しく痛がる、関節がパンパンに腫れる、というときは、骨折や靭帯の断裂など、別の急性のトラブルの可能性もあるので、早急に受診してください。なお、見逃していたとしても、飼い主さんを責める必要はありません。犬は痛みを隠すので、気づきにくくて当然です。気づいた今が、ケアの始めどき。まずは、動物病院で、状態を診てもらいましょう。

ご近所さんの犬が、散歩に行きたがらなくなり、「もう歳だから」と思っていたそうです。でも念のため受診したら、関節炎でした。痛み止めと、体重管理、家の滑り止めで、また散歩を楽しめるように。「歳のせいにして、痛いのを我慢させていたのかと思うと申し訳ない」と。気づいてあげられて、本当によかったですね。
今日から家でできる関節炎ケアのコツ
関節炎のケアは、家庭での取り組みが、とても大切です。獣医師の治療とあわせて、次のことを心がけましょう。
- 体重管理(いちばん大切)…肥満は関節の負担そのもの。適正体重を保つことが、最大のケアです
- 床の滑り止め…フローリングに、マットやカーペットを敷く(廊下、玄関、ソファや食器の前など、動線に沿って)。滑って踏ん張れないと、関節に負担がかかります
- 段差にスロープ・ステップ…ソファやベッド、車の乗り降りを助け、ジャンプや階段を減らす
- 爪切りと、足裏の毛の手入れ…踏ん張りがきき、滑り止めに直結します(意外と見落としがち)
- 適度な運動…無理のない散歩で、筋力を保つ。短めに、平地を中心に。ただし、痛いのに歩かせる、過度な運動は逆効果です
- 暖かく保つ・寝床をやわらかく…寒さで悪化するので、暖かく。体圧を分散するマットも
関節のサプリ(グルコサミンなど)は、あくまで補助で、効く子・効かない子がいます。過度に期待せず、獣医師に相談を。そして、とりわけ避けたいのが、人間の鎮痛薬を与えること。犬には危険なので、痛みの管理は、必ず獣医師の指示に従ってください。
まとめ
結論として、犬が「段差をためらう」「立ち上がりが遅い」「散歩を嫌がる」といった変化を見せたら、それは、老化ではなく、関節炎(関節の痛み)のサインかもしれません。犬は痛みを隠すので、こうした生活の変化として現れ、見逃されがちです。原因は、加齢による変形性関節症が多いですが、パテラや股関節形成不全、肥満、そして若い犬・小型犬でも起こります。進行性の病気なので、「年のせい」と片付けず、気づいたら受診を。早期のケアで、進行を遅らせ、痛みをやわらげられます。家庭では、体重管理を最優先に、床の滑り止め、段差のスロープ、爪と足裏の手入れ、無理のない運動、保温を。サプリは補助で、人間の鎮痛薬は絶対に与えないこと。気づいた今が、ケアの始めどきです。
「犬 関節炎・足腰」についてのFAQ
Q. 犬が段差をためらいます。老化ですか、病気ですか?
A. 「年のせい」と思いがちですが、関節炎(関節の痛み)のサインのことがあります。犬は痛みを隠すため、「痛い」と訴える代わりに、段差や階段をためらう、ソファに登らない、立ち上がりが遅い、散歩を嫌がる、といった生活の変化として現れます。高齢犬の4割ほどが関節症をもつともいわれ、その多くが見逃されています。放置すると進行し、痛みで動かなくなり、筋力も落ちる悪循環に。ですから、こうした変化に気づいたら、老化と決めつけず、動物病院を受診してください。早く気づいてケアを始めるほど、進行を遅らせ、痛みをやわらげられます。気になる歩き方は、動画に撮って持参すると、診断に役立ちます。
Q. 若い犬や小型犬でも、関節炎になりますか?
A. なります。「関節炎=高齢の犬の病気」というのは、思い込みです。若い犬でも、膝蓋骨脱臼(パテラ)や、股関節形成不全といった、もともとの関節のトラブルが引き金となって、関節炎を起こすことがあります。とくに小型犬は、パテラが多く、しかも体重が軽いため、痛いほうの足をかばって3本足で歩いても、普通に見えてしまい、発見が遅れがちです。「まだ若いから」「小さいから大丈夫」と油断せず、時々ケンケンする、動きが硬い、段差を嫌がる、といったサインがあれば、受診しましょう。若いうちから、体重管理や、床の滑り止めなどで、関節を守ってあげることも大切です。
Q. 関節炎は、治りますか?家でできることは?
A. 残念ながら、すり減った軟骨が元に戻るなど、完全に治すのは難しいのが実際です。ですが、痛みをコントロールし、進行を遅らせるケアで、生活の質を保つことは、十分にできます。治療は、獣医師の診断のもと、体重管理、運動療法やリハビリ、痛み止めなどの薬を組み合わせるのが基本です。家庭では、まず体重管理(最優先)。そして、フローリングに滑り止めマットを敷く、段差にスロープをつける、爪と足裏の毛を手入れする、無理のない範囲で散歩して筋力を保つ、寒さを避けて暖かくする、といったケアを。関節サプリは補助的なものです。人間の鎮痛薬は絶対に与えず、痛みの管理は、必ず獣医師と相談してください。
Q. 関節炎の犬に、散歩はさせていいですか?
A. 基本的には、無理のない範囲での散歩は、してあげたほうがよいです。適度に体を動かすことは、関節を支える筋力を保ち、体重管理にも役立ちます。まったく動かさないと、かえって筋力が落ちてしまいます。ポイントは、「無理をさせない」こと。散歩は、短めに、平地を中心に、犬のペースで。坂道や、長時間、激しい運動は、かえって関節を痛めるので避けましょう。痛がる日や、調子の悪い日は、休ませて。どのくらいの運動が、その子に適切かは、関節の状態によって違うので、獣医師に相談して、決めるのが安心です。散歩のあと、足を引きずる・痛がるようなら、量が多すぎるサインかもしれません。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。