犬のフケは、少量なら皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)による自然なもので心配いりませんが、量が多くかゆみや赤みをともなうときは皮膚の病気のサインのこともあります。黒い服で愛犬を抱っこしたら、肩に白いフケが。ブラッシングのたびに、パラパラと落ちることもあります。なかには、人にうつるものもあります。犬のフケが多い原因と、正しいケア、受診の目安を解説します。
犬のフケが多い原因|生理的なものと病気
フケには、心配の少ないものから、注意したい病気まであります。
- 生理的なもの…皮膚のターンオーバーで、古い角質が少しはがれるのは自然なこと。少量なら心配いりません
- 乾燥…冬や、エアコン・暖房で空気が乾くと、フケが増えます。犬の皮膚は人より薄く、乾きやすいのです
- シャンプーのしすぎ・し足りない…洗いすぎは皮脂を落としすぎ、洗わなすぎは角質や皮脂がたまる原因に
- 皮膚の病気…脂漏症、細菌の皮膚炎(膿皮症)、マラセチア皮膚炎、アレルギー、寄生虫、カビ(真菌)、ホルモンの病気など
ポイントは、フケ自体より、「量が多いか」「かゆみ・赤み・脱毛・べたつき・においをともなうか」。これらをともなう大量のフケは、皮膚の病気のサインのことがあります。
フケの見た目でわかる原因のヒント
フケの様子に注目すると、原因のヒントになります(あくまで目安です)。
| フケの様子 | 疑う原因 |
|---|---|
| 乾いた、大きめのフケ | 乾燥、乾性の脂漏症 |
| べたついたフケ+独特のにおい | マラセチア皮膚炎、脂性の脂漏症 |
| 円形の脱毛・かさぶたをともなう | 皮膚糸状菌症(カビ・人にもうつる) |
| 左右対称に薄くなる+フケ | ホルモンの病気(甲状腺機能低下症など) |
とくに、フケに、かゆがる・赤み・脱毛・べたつき・においをともなうときは、皮膚炎やアレルギー、寄生虫などのサインのことが多いもの。早めに動物病院で相談してください。そして、次に見る「動くフケ」には、とくに注意が必要です。
【注意】人にもうつる「動くフケ」
フケのなかでも、見逃してはいけないのが、「動いて見えるフケ」です。背中などに、白い大量のフケが出て、よく見ると、フケが動いているように見える——これは、「ツメダニ症」という、小さなダニによる皮膚の病気の特徴(「歩くフケ」とも呼ばれます)。
ツメダニ症で気をつけたいのが、人にもうつる(人と動物の共通感染症)ということ。犬にダニがいると、飼い主さんの腕やお腹などにも、かゆみや、赤い発疹が出ることがあります。同じように、疥癬(ヒゼンダニ)や、皮膚糸状菌症(カビ)も、人にうつる皮膚の病気です。ですから、犬のフケが急に増えた・かゆがっている、そして飼い主さんや家族にも、かゆみや発疹が出た、というときは、すぐに動物病院を受診してください。犬の治療とあわせて、人の側も皮膚科を受診する必要があります。「ただのフケ」と思わず、人にうつるサインを、見逃さないであげましょう。

散歩仲間の飼い主さんが、愛犬の背中に大量のフケが出たうえ、自分の腕にもかゆい発疹が出て、驚いて受診したそうです。結果はツメダニ症で、人にもうつっていたとのこと。犬と人、両方の治療で、無事に回復。「フケくらい」と侮れないんだな、と背筋が伸びる思いでした。
家庭でのケアと、やってはいけないこと
フケが生理的なものや軽い乾燥によるものなら、家庭のケアで整えられます。
- 犬用の低刺激シャンプーで、月に1〜2回ほどを目安に、やさしく洗う
- しっかり乾かす…生乾きは、雑菌やマラセチアが増える原因に
- 保湿とブラッシング…乾燥対策の保湿、ブラッシングで古い角質を取り除き、血行を促す
- お部屋の湿度を50〜60%に…乾燥する季節は加湿を
- 栄養…皮膚には、良質なタンパク質や、必須脂肪酸(オメガ3・6)が大切です
一方、やってはいけないのが、人間用のシャンプーを使うこと。人と犬では、肌の性質(pH)が違い、人間用は犬の皮膚のバリアをこわして、かえってフケや皮膚トラブルの原因になります。また、洗いすぎ・ゴシゴシこする、生乾きのまま放置する、フケを無理に取ろうとする、というのもNG。これらは、皮膚を傷めます。そして、家庭ケアで改善しない、かゆみ・赤み・脱毛・においをともなう、というときは、自己判断で市販薬を続けず、動物病院を受診してください。
まとめ
フケと一口に言っても、皮膚のターンオーバーによる少量の生理的なものや、乾燥、シャンプーのしすぎ・し足りないといった軽いものから、脂漏症、膿皮症、マラセチア皮膚炎、アレルギー、寄生虫、カビ(真菌)、ホルモンの病気まで、幅があります。フケの見た目も手がかりで、乾いた大きいフケは乾燥、べたつき+においはマラセチア、円形の脱毛は真菌(人にもうつる)、左右対称の脱毛はホルモンの病気、が疑われます。とくに注意したいのが「動くフケ(ツメダニ症)」で、疥癬や皮膚糸状菌症とともに、人にもうつります。犬のフケが増え、飼い主にもかゆみや発疹が出たら、すぐ受診を。家庭では、犬用シャンプーで洗いしっかり乾かす、保湿、加湿、栄養を。人間用シャンプーはpHが合わずNGです。かゆみ・赤み・脱毛をともなう、改善しないフケは、動物病院で相談してください。
「犬 フケ」についてのFAQ
Q. 犬のフケは、どのくらいから心配すべきですか?
A. フケが少量で、かゆがったり、皮膚が赤くなったりしていなければ、皮膚のターンオーバーによる自然なもので、多くは心配いりません。とくに、冬や乾燥した室内では、フケが出やすくなります。注意したいのは、フケの量が急に増えた、かゆがる、赤み・湿疹・かさぶた、脱毛、べたつき、においをともなう、というとき。これらは、皮膚炎やアレルギー、寄生虫、ホルモンの病気などのサインのことがあります。また、フケが動いて見える(ツメダニ症)ときは、人にもうつるので要注意。気になるフケは、動物病院で相談してください。
Q. フケの見た目で、原因のあたりはつきますか?
A. あくまで目安ですが、ヒントになります。乾いた大きめのフケは、乾燥や、乾性の脂漏症。べたついたフケと独特のにおいがあるものは、マラセチア皮膚炎や、脂性の脂漏症。円形の脱毛やかさぶたをともなうフケは、皮膚糸状菌症(カビ・人にもうつる)。左右対称に毛が薄くなりながらフケが出るのは、甲状腺機能低下症などホルモンの病気。ただし、これらは診断ではありません。とくに、かゆみ・赤み・脱毛・においをともなうときや、フケが動いて見えるときは、動物病院で、正確な原因を調べてもらいましょう。
Q. 犬のフケが、人にうつることはありますか?
A. あります。とくに、「ツメダニ症(動くフケ・歩くフケ)」「疥癬(ヒゼンダニ)」「皮膚糸状菌症(カビ)」は、人と動物の共通感染症で、人にもうつります。犬に大量のフケやかゆみがあり、同時に、飼い主さんや家族の腕・お腹などに、かゆみや赤い発疹が出た、というときは、これらの病気を疑ってください。すぐに動物病院を受診し、犬を治療するとともに、人の側も皮膚科を受診しましょう。「ただのフケ」と放置すると、家族に広がることもあります。犬のフケと、自分の肌の両方に、気を配ってあげてください。
Q. フケ対策に、家庭でできることはありますか?
A. あります。まず、犬用の低刺激シャンプーで、月1〜2回を目安に、やさしく洗い、しっかり乾かすこと(生乾きは雑菌が増えます)。乾燥する季節は、保湿剤や、お部屋の加湿(湿度50〜60%)で、乾燥対策を。ブラッシングで、古い角質を取り除き、血行を促すのも有効です。皮膚の健康には、良質なタンパク質や必須脂肪酸(オメガ3・6)を含む食事も大切。ただし、絶対に避けたいのが、人間用シャンプーの使用。犬とは肌の性質(pH)が違い、皮膚のバリアをこわして、かえって悪化させます。改善しないフケは、受診してください。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。