犬が水をよく飲むのは、暑さや運動なら自然ですが、安静時も明らかに多く、おしっこも増えているなら、腎臓病や糖尿病など病気のサインのことがあります。最近、愛犬が水をよく飲む気がする——。暑い時期や、運動のあとなら自然なことですが、「いつもより明らかに多い」「おしっこの量も増えた」というときは、注意が必要です。水をたくさん飲む「多飲」は、腎臓や糖尿病など、病気のサインのことがあります。犬が水をよく飲む原因と、正常か病気かの見分け方、そして受診の目安を解説します。
犬が水をよく飲む原因|生理的なものと病気
水をよく飲む原因は、心配の少ないものと、注意したい病気に分けられます。
心配の少ない(生理的な)原因は、暑さ(体温調節でハアハアして、水分を欲する)、運動のあと、ドライフードへの切り替え(水分が少ない分、水で補う)、塩分やおやつのとりすぎ、一時的な興奮など。これらは、一時的で、ほかに変わった様子がなければ、多くは心配いりません。
一方、注意したい病気としては、次のようなものがあります。慢性腎臓病(高齢の犬に多い)、糖尿病、クッシング症候群(副腎の病気)、避妊していないメスの子宮蓄膿症(緊急)、肝臓の病気など。これらは、水をよく飲む「多飲」と、おしっこが増える「多尿」が、セットであらわれることが多いのが特徴です。「急に水を飲む量が増えた」「おしっこも増えた」というときは、これらの病気を疑って、早めに受診してください。
どのくらいから「多い」?|飲水量の目安
飲水量の目安は、体重1kgあたりで考えるとわかりやすく、健康な犬は1日に、体重1kgあたり、約50〜60mlが正常の範囲、体重1kgあたり100mlを超えると、「多飲」と考えます。「うちの子、飲みすぎ?」を判断するのに、この目安を知っておくと便利です。
| 体重 | 正常の目安(1日) | 多飲の目安(超えたら注意) |
|---|---|---|
| 3kg | 約150〜180ml | 300ml以上 |
| 5kg | 約250〜300ml | 500ml以上 |
| 10kg | 約500〜600ml | 1,000ml以上 |
測り方は簡単です。朝、器に入れた水の量を計り、翌朝、残った水の量を引くと、1日の飲水量がわかります(複数の器や、自動給水器があれば、合計で)。数日つけてみて、正常の範囲を超えていたり、日ごとに増えていたりしたら、その数字を記録して、受診の際に伝えましょう。おしっこの量(回数・1回の量)も、あわせて見ておくと役立ちます。
随伴症状でわかる、多飲で疑う病気
随伴症状は、疑う病気を見分ける手がかりで、多飲にどんな症状をともなうかで、可能性のある病気が変わってきます。目安として、参考にしてください。
- 多飲+左右対称の脱毛・お腹が膨らむ…クッシング症候群(副腎の病気)
- 多飲+よく食べるのに、やせてくる…糖尿病
- 多飲+陰部から膿が出る・発熱・元気食欲の低下…子宮蓄膿症(避妊していないメス。緊急)
- 多飲+高齢・体重減少・食欲の変化…慢性腎臓病
とくに、避妊していないメスで、発情の後(1〜2か月ほど)に、水をよく飲むようになり、陰部から膿が出る、というときは、子宮蓄膿症の疑いがあり、命に関わる緊急事態です。すぐに動物病院を受診してください。ほかの病気も、早期発見・早期治療が大切。気になる多飲は、放っておかず、かかりつけに相談してください。

友人が、愛犬(高齢のメス)の飲水量が急に増えたのに気づいて、「なんとなく変」と受診したところ、子宮蓄膿症でした。手術で元気になったそうですが、「水の量の変化に気づいたのが、早期発見につながった」と話していました。毎日の「当たり前」の中の小さな変化が、大事なサインなんだなと、実感したお話でした。
受診の目安|多飲多尿で病院へ行くとき
多飲多尿は、早めのケアが大切な病気のサインのことが多く、次のようなときは、動物病院を受診してください。
- 急に、水を飲む量が増えた(正常の目安を超えている)
- おしっこの量・回数も、あわせて増えた(多飲多尿)
- 体重が減ってきた、食欲に変化がある
- 元気がない、毛づやが悪い、お腹が膨らんできた
- 避妊していないメスで、陰部から膿が出る(緊急)
多飲多尿は、腎臓・糖尿病・ホルモンの病気など、早めのケアが大切な病気のサインのことが多いもの。「たくさん飲んで健康的」と思わず、いつもより明らかに多いなら、飲水量を測って記録し、受診してください。なお、逆に水をあまり飲まないのも、脱水や、体調不良のサインのことがあります。ごはんに水を足す、ウェットを活用する、水飲み場を工夫するなどで、水分をとりやすくしてあげましょう。それでも飲まない・元気がないときは、受診を。
まとめ
水をよく飲むこと自体は、暑さや運動、ドライフードなど生理的なことも多いですが、「いつもより明らかに多い」「おしっこも増えた」ときは、病気のサインのことがあります。目安は、1日に体重1kgあたり約50〜60mlが正常で、100mlを超えると多飲。朝の水の量から翌朝の残りを引けば、飲水量が測れます。随伴症状も手がかりで、多飲+左右対称の脱毛はクッシング、多飲+よく食べてやせるは糖尿病、多飲+陰部の膿は子宮蓄膿症(未避妊メス・緊急)、多飲+高齢は腎臓病、が疑われます。急に増えた・多尿・体重減少・食欲の変化をともなうときは、飲水量を記録して受診を。とくに、未避妊メスの多飲+膿は、命に関わるので、すぐに動物病院へ。
「犬 水をよく飲む」についてのFAQ
Q. 犬が水をよく飲みます。どのくらいから、飲みすぎですか?
A. 目安があります。健康な犬は、1日に、体重1kgあたり約50〜60mlが正常の範囲で、体重1kgあたり100mlを超えると「多飲」と考えます。たとえば、5kgの犬なら、500ml以上飲んでいたら、多飲の目安。測り方は、朝、器に入れた水の量を計り、翌朝、残りを引くだけです。数日測ってみて、目安を超えていたり、日ごとに増えていたりしたら、その数字を記録して受診を。とくに、暑さや運動で説明がつかないのに急に増えた、おしっこも増えた、というときは、病気のサインのことがあります。
Q. 水をたくさん飲むのは、どんな病気の可能性がありますか?
A. 「多飲多尿(水をよく飲み、おしっこも増える)」を起こす病気として、慢性腎臓病(高齢の犬に多い)、糖尿病、クッシング症候群(副腎の病気)、避妊していないメスの子宮蓄膿症、肝臓の病気などがあります。随伴症状も手がかりで、左右対称の脱毛やお腹の膨らみはクッシング、よく食べるのにやせるのは糖尿病、陰部から膿が出るのは子宮蓄膿症(緊急)、が疑われます。いずれも、早期発見・早期治療が大切。急に飲水量が増えたら、量を記録して、早めに診てもらいましょう。
Q. 避妊していないメスが、水をよく飲みます。心配ですか?
A. とくに、発情の後(1〜2か月ほど)に、水をよく飲むようになった場合は、注意が必要です。「子宮蓄膿症」という、子宮に膿がたまる病気の可能性があり、これは命に関わる緊急事態です。多飲のほか、陰部から膿が出る、発熱、元気や食欲の低下、お腹が張る、といったサインをともなうことがあります。少しでも疑わしいときは、様子を見ずに、すぐに動物病院を受診してください。なお、避妊手術をしておくと、この病気は予防できます。気になる方は、獣医師に相談を。
Q. 飲水量を、家庭で測る方法はありますか?
A. あります。とても簡単で、朝、器に入れる水の量を計量カップで計り、翌朝、残った水の量を計って引くだけ。その差が、1日の飲水量です。器が複数あったり、自動給水器を使っていたりする場合は、合計で計算します。数日つけてみると、その子の「ふだんの量」がわかり、変化に気づきやすくなります。目安(体重1kgあたり約50〜60mlが正常、100ml超で多飲)と照らして、多いようなら、その記録を持って受診を。おしっこの量や回数も、あわせてメモしておくと、診察に役立ちます。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。