犬が急にトイレを失敗するようになる背景には、トイレ環境への不満やストレス、病気や加齢が隠れていることがあり、叱る前にまず原因を見極めることが大切です。今までちゃんとできていたのに——「どうして?」と、がっかりしたり、心配になったりしますよね。理由から対処法、受診の目安まで、順にお伝えします。
犬のトイレの失敗が急に起きる理由
トイレの失敗が急に起きるときは、たいてい何らかのきっかけがあります。主な理由を挙げてみましょう。
- トイレ環境が気に入らない…トイレが汚れている、場所や配置が変わった、落ち着いて排泄できない
- ストレス・環境の変化…引っ越し、家族構成の変化、生活リズムの変化などの不安から
- 不安・かまってほしい…寂しさや不安の表れのことも。「嫌がらせ」でわざとするわけではありません
- マーキング…縄張りを主張する本能的な行動
- 加齢…足腰が弱ってトイレまで間に合わない、我慢がきかなくなる
- 病気…膀胱炎などの泌尿器の病気で、頻尿や失禁が起きることも(後述)
このように、原因はしつけの問題だけではありません。とくに「急に」失敗が増えたときは、体調や環境の変化を疑ってみることが大切です。なお、少量ずつあちこちにかけるようなら、マーキングのこともあります。
子犬と成犬で違うトイレ失敗の意味
トイレの失敗といっても、子犬と成犬では意味が大きく違います。ここを分けて考えると、対応の方向性が見えてきます。
子犬の失敗は、多くが「まだトイレの場所を覚えきれていない」段階のもの。これは、根気よくトレーニングを続けることで、少しずつできるようになっていきます。一方、これまで問題なくできていた成犬が、急に失敗するようになった場合は、話が別。しつけのやり直しというより、「なぜ急に?」の原因(環境の変化、ストレス、体調不良、加齢)を探ることが先決です。同じ「失敗」でも、子犬は「これから覚える」段階、成犬は「何かが変わった」サイン、と押さえておきましょう。
トイレ失敗の裏に潜む病気とシニアのサイン
トイレの失敗の裏には、膀胱炎などの体の病気が隠れていることがあり、次のようなサインを伴うときは受診が必要です。しつけの問題と決めつけず、動物病院に相談してください。
- おしっこの回数が増えた、少量ずつ何度もする
- 血が混じる、尿の色やにおいがいつもと違う
- 排尿のときに痛がる・鳴く、トイレで長く踏ん張る
- 水をたくさん飲むようになった(多飲多尿)
- 対策しても、粗相が続く
これらは、膀胱炎や結石、腎臓・糖尿病など、泌尿器や全身の病気のサインのことがあります。おしっこの回数が増える頻尿が見られるときは、とくに注意してください。また、シニア期に入った犬では、加齢に伴う認知機能の低下(認知症)から、トイレの場所が分からなくなる・失禁する、ということも。あわせて、夜鳴きや徘徊、同じ所をぐるぐる回る、といった様子があれば、認知症の可能性も含めて相談を。急な粗相は、体からのメッセージのことがあります。
トイレ失敗は叱らない対処が最善
トイレの失敗は、叱らずに成功を褒めて環境を整えるのが最善の対処です。粗相を見つけると、つい「こら!」と叱りたくなりますが、叱るのは逆効果。ここは、ぐっとこらえたいところです。
強く叱ると、犬は「排泄すること自体が悪いこと」と誤解して、飼い主の見ていない所や、家具の陰など隠れた場所でするようになったり、飼い主を怖がったりすることがあります。かえって解決から遠ざかってしまうのです。おすすめは、失敗しても騒がず淡々と片づけ、トイレでうまくできたときに、しっかり褒めること。あわせて、トイレを清潔に保つ、落ち着ける場所に置く、といった環境の見直しも有効です。そして、病気や加齢が疑われるときは、しつけで解決しようとせず、まず受診を。原因に合った対応が、遠回りに見えて近道です。

粗相を見つけると、つい声が大きくなってしまう気持ち、痛いほどわかります。でも、犬にとってはなぜ怒られたのか分からず、不安になるだけなんですよね。ぐっとこらえて、うまくできたときに大げさに褒める。この切り替えができると、犬も飼い主も、ぐっとラクになりますよ。
まとめ
犬が急にトイレを失敗するようになったときは、トイレ環境への不満、ストレスや環境変化、不安、マーキング、加齢、そして膀胱炎などの病気が原因として考えられます。子犬の「まだ覚えていない」失敗と、成犬の「急にできなくなった」失敗は別もので、後者は原因さがしが大切。とくに、頻尿・血尿・排尿時に痛がる・多飲多尿・粗相が続く、といったサインがあるときは、泌尿器の病気の可能性があるので受診を。シニアでトイレの場所が分からなくなるのは、認知症のことも。対処の基本は、叱らずに、成功を褒めて、環境を整えること。叱ると隠れてするなど逆効果になります。急な粗相を「わがまま」と決めつけないこと。原因に寄り添う姿勢が、解決への近道になります。
「犬 トイレ 失敗」についてのFAQ
Q. 犬が急にトイレを失敗するようになりました。わざとでしょうか?
A. 「わざと」「嫌がらせ」ということは、まずありません。急な失敗の裏には、トイレ環境への不満、ストレスや環境の変化、不安、加齢、そして膀胱炎などの病気が隠れていることがあります。とくに、今までちゃんとできていた成犬が急に失敗するようになったときは、体調や環境に変化がなかったか振り返ってみましょう。頻尿や血尿などを伴うなら、病気の可能性があるので受診を検討してください。
Q. トイレを失敗した犬を、叱ってしつけてもいいですか?
A. 叱るのは避けてください。犬は「なぜ怒られたか」を人のようには理解できず、「排泄する姿を見られると叱られる」と勘違いして、押し入れやカーテンの陰など、人目につかない場所で隠れてするようになることがあります。こうなると、かえって厄介です。おすすめは、失敗は無言でさっと片づけ(においが残ると同じ場所でしがちなので、消臭も忘れずに)、成功したら、その場ですぐ、大げさなくらい褒めることです。
Q. トイレの失敗で、病気を疑ったほうがいいのはどんなときですか?
A. 「おしっこの様子の変化」がいちばんの手がかりです。回数が急に増えた、少量ずつ何度もトイレに行く、色が濃い・血が混じる、排尿のときに鳴く・踏ん張る、水を飲む量が増えた——このどれかがあれば、膀胱炎や結石、腎臓・糖尿病などの可能性があります。動物病院では、おしっこを持参すると尿検査ができるので、気づいたら少量を清潔な容器にとって持っていくと、診断がスムーズです。
Q. 老犬が急にトイレを失敗するようになりました。認知症でしょうか?
A. その可能性もあります。シニア犬では、加齢に伴う認知機能の低下(認知症)から、トイレの場所が分からなくなる・失禁する、といったことが起こります。あわせて、夜鳴き、同じ所をぐるぐる歩く、昼夜が逆転する、といった変化が見られるなら、認知症を疑って一度受診を。ただし、足腰の衰えでトイレまで間に合わない、膀胱炎などの病気、というケースもあるので、まずは獣医師に相談して原因を確かめるのがおすすめです。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。