犬が手をなめるのは、愛情や親愛、あいさつといった、うれしいサインであることがほとんどです。手を差し出すと、うれしそうにペロペロ。どんな気持ちからなのでしょうか。ただ、衛生面で少し気をつけたいことや、なかには不安のあらわれのことも。犬が手をなめる理由と、知っておきたい注意点、やめさせたいときの対応を解説します。
犬が手をなめる5つの理由と気持ち
犬が手をなめる行動には、愛情や甘えなど、こんな気持ちが込められています。
- 愛情・親愛の表現…大好き、信頼しているよ、というサイン。とくに口のまわりをなめるのは、親愛の情の表れです
- あいさつ・甘え…子犬が母犬の口をなめて、ごはんをねだった行動の名残ともいわれます
- 味・においが気になる…手についた塩分や汗、食べ物のにおいを、確かめている
- 要求(かまって・遊んで)…なめると飼い主が反応してくれる、と学んで繰り返す
- 気持ちを落ち着ける…不安や緊張を感じたときに、自分を落ち着かせるための行動(カーミングシグナル)
このように、手なめの多くは、愛情や親しみのこもった、微笑ましい行動です。顔や口をなめるのも、同じ気持ちからのことが多いもの。ただ、なめられる側の「衛生面」では、少し知っておきたいこともあります。
手なめで知っておきたい衛生面の注意
手なめは愛情表現とはいえ、犬になめられることには、衛生上、少し気をつけたい点もあります。犬の口の中には、さまざまな菌がいて、なかには「パスツレラ菌」のように、人にうつることがあるものも(人と動物の共通感染症)。健康な大人なら、過度に神経質になる必要はありませんが、次のような場合は、少し気をつけましょう。
- 傷口や、口・目・鼻の粘膜はなめさせない…菌が入りやすいため
- 免疫が弱い方は、とくに注意…小さなお子さん、高齢の方、持病のある方、妊娠中の方などは、顔まわりをなめさせるのは控えめに
- なめられたあとは、手を洗う…習慣にしておくと安心です
けっして「犬は不潔」ということではありません。少しの心がけで、犬とのふれあいを、より安心して楽しめる、ということです。神経質になりすぎず、家族の状況に合わせて、ほどよい距離感を見つけてください。

友人に赤ちゃんが生まれたとき、「犬が赤ちゃんの顔をなめようとして、ヒヤヒヤする」と話していました。犬にとっては、新しい家族への愛情表現。でも、赤ちゃんの顔は避けたいところ。叱るのではなく、なめる前にそっと間に入る、というふうに、うまく折り合いをつけていました。愛情は受け止めつつ、衛生面はしっかり、ですね。
同じ場所を執拗になめるときのサイン
同じ場所を執拗になめ続けるときは、かゆみや痛み、皮膚のトラブル、ストレスによる常同行動のサインのことがあり、少し注意が必要です。手や顔ではなく、自分の体(前足や肉球など)の同じ場所をなめ続ける場合は、なおさら。なめすぎて、毛が抜けたり、皮膚が赤くなったりしているなら、要注意です。足をなめ続ける原因もあわせてご覧ください。
また、飼い主の手をなめるのが、急に増えた・執拗になったという場合も、不安やストレスが背景にあることも。「いつもの愛情表現」とは違う、しつこさや、体をなめ壊すような様子があれば、一度、かかりつけの動物病院で相談してください。体の不調がないかを確認すると安心です。
手なめをやめさせたいときの対応
手なめをやめさせたいときも、叱らないのが基本です。愛情表現とはいえ、「ところかまわずなめるのは、ちょっと困る」ということもありますよね。とくに、かまってほしくてなめている場合、叱ること自体が「反応してもらえた」というごほうびになり、逆効果になります。
おすすめは、なめても、いいことが起きない、と教えること。なめてきたら、かまわずに、そっと手を引っ込めたり、静かにその場を離れたり。そして、なめるのをやめて落ち着いたら、たっぷり褒めてあげます。「おすわり」など、別の行動ができたら褒める、と置きかえるのも効果的です。なお、無視した直後、一時的に「もっとなめよう」と激しくなることがありますが(学習の途中経過です)、根気よく続ければ、落ち着いていきます。ストレスが背景にありそうなら、散歩や遊びを増やして、発散させてあげましょう。
まとめ
犬が手をなめるのは、うれしい・微笑ましい行動であることが大半です。愛情・親愛、あいさつ・甘え、味やにおいの確認、要求、気持ちを落ち着ける(カーミングシグナル)などが理由で、基本的には心配いりません。ただ、衛生面では、傷口や口・目・鼻の粘膜はなめさせない、免疫が弱い方(乳幼児・高齢者・妊娠中・持病のある方)は顔まわりを控えめに、なめられたら手を洗う、といった心がけがあると安心です。また、自分の体の同じ場所を執拗になめ続ける、手なめが急に増えた・しつこくなった、というときは、かゆみや痛み、ストレスのサインのことも。なめ壊しなどがあれば、かかりつけに相談を。やめさせたいときは、叱らずに、なめても反応しない・落ち着いたら褒める、で教えていきましょう。
「犬 手をなめる」についてのFAQ
Q. 犬が手や顔をなめてきます。どんな気持ちですか?
A. その多くは、「大好き」「信頼しているよ」という、愛情や親愛の表現です。とくに口のまわりをなめるのは、親しみの気持ちの表れ。子犬が母犬の口をなめて、ごはんをねだった行動の名残ともいわれます。ほかに、手についた汗や食べ物のにおいが気になって、あるいは「かまって」の要求で、なめることも。基本的には、うれしい・微笑ましい行動なので、心配いりません。ただし、衛生面では、傷口や顔の粘膜はなめさせない、といった心がけがあると安心です。
Q. 犬になめられると、病気がうつることはありますか?
A. 可能性はゼロではありません。犬の口の中には、パスツレラ菌など、人にうつることがある菌もいます(人と動物の共通感染症)。ただ、健康な大人が、過度に心配する必要はありません。気をつけたいのは、傷口や、口・目・鼻の粘膜をなめさせないこと。そして、小さなお子さん、高齢の方、持病のある方、妊娠中の方などは、顔まわりをなめさせるのは控えめにし、なめられたら手を洗うと安心です。「犬が不潔」なのではなく、少しの心がけで、より安心してふれあえる、ということです。
Q. 自分の前足を、ずっとなめ続けています。大丈夫でしょうか?
A. 手や顔をなめるのとは違い、自分の体の同じ場所(前足や肉球など)を執拗になめ続けるのは、注意したいサインです。かゆみや痛み、皮膚のトラブル、あるいはストレスによる常同行動のことがあります。とくに、なめている場所の毛が抜けたり、皮膚が赤くなったりしているなら、なおさらです。「クセ」と見過ごさず、一度、動物病院で相談してください。かゆみ・痛みなどの体の原因がないかを確認し、原因があれば治療を、ストレスが背景なら発散を、と対応していきます。
Q. なめるのをやめさせたいのですが、叱ってもいいですか?
A. 叱るのはおすすめしません。とくに、かまってほしくてなめている場合、叱ること自体が「反応してもらえた」というごほうびになり、逆効果です。コツは、「なめても、いいことが起きない」と教えること。なめてきたら、かまわずにそっと手を引っ込める、静かに離れる。そして、やめて落ち着いたら、たっぷり褒めます。無視した直後、一時的になめ方が激しくなることがありますが、これは学習の途中経過。根気よく続ければ落ち着きます。ストレスが背景にありそうなら、運動や遊びで発散させてあげてください。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。