犬が顔や口をなめてくるのは、多くが「大好き」「かまって」という愛情や親しみのあらわれです。くつろいでいると、愛犬がぺろぺろと顔を舐めてくる——あのくすぐったい愛情表現に、つい笑ってしまいますね。犬が顔や口をなめるのは、その多くが「大好き」「かまって」という気持ちのあらわれです。ただ、衛生の面では、ちょっと知っておきたい注意点も。理由と、上手な付き合い方をひもといていきます。
犬が顔や口をなめてくる主な理由
犬が顔や口をなめる理由はさまざまで、ひとくちに「なめる」といっても気持ちは一つではありません。代表的なものを見てみましょう。
- 愛情・親愛のあいさつ…好きな相手へのスキンシップ。犬同士のあいさつにも通じる行動です
- 要求(名残の行動)…子犬が母犬の口をなめて食べ物やかまってをねだった名残で、「遊んで」「おなかすいた」のサインのことも
- においや味が好き…汗の塩けなど、飼い主の肌のにおいや味に引かれてなめることがあります
- うれしい・興奮…帰宅時などテンションが上がったときに、勢いよくなめてくることも
- なだめたい(カーミングシグナル)…犬には、相手や自分を落ち着かせようとする「カーミングシグナル」という行動があり、なめるのもそのひとつと考えられています
どれも、飼い主への信頼や親しみがベースにある行動。愛犬なりのコミュニケーションとして、あたたかく受け止めてあげたいですね。

友人いわく、犬は「好きな人ほどよくなめる」のだとか。たしかに、うちに来客があっても、いちばんなめにいくのは家族。ちょっと誇らしいような、くすぐったいような。あの熱烈な歓迎は、犬なりの「大好き」の伝え方なんだなと思います。
顔をなめさせても大丈夫?衛生面の注意
顔をなめさせるのは、健康な大人ならたまに程度は問題ありませんが、衛生面では気をつけたい点があります。犬の口の中には、人にも感染することがある菌(パスツレラ菌など)がいることが知られています。
健康な大人が、たまに顔をなめられる程度で、過度に心配する必要はありません。ただ、口や傷口、目・鼻などの粘膜をなめさせるのは避けたほうが無難です。とくに、小さな子どもや高齢者、体調がすぐれない人・免疫の落ちている人は、感染のリスクがやや高くなるとされるので、なめさせすぎには注意しましょう。なめられたら、その部分を軽く洗う習慣をつけておくと安心です。犬の口内を清潔に保つ意味でも、日ごろの歯みがきケアも役立ちます。神経質になりすぎず、でも節度をもって、が付き合い方のコツです。
顔をなめるのをやめさせたいときのコツ
顔をなめるのをやめさせたいときのポイントは、叱らないことです。「かわいいけれど、ほどほどにしてほしい」というときもありますよね。大声で叱ったり、手で払いのけたりすると、犬はかまってもらえたと勘違いしたり、不安になったりして、逆効果になりがちです。
おすすめは、なめ始めたら静かにその場を離れる、または視線を外して反応しないこと。「なめても、いいことが起きない」と伝わると、少しずつ落ち着いていきます。とくに気をつけたいのが、要求のなめ。なめてきたときに、その都度かまったりおやつをあげたりすると、「なめれば要求が通る」と学習して、ますます強まってしまいます。落ち着いているときにたっぷりかまってあげて、要求なめには応じすぎない——このメリハリが、上手なやめさせ方につながります。
執拗になめるときに注意したいサイン
執拗になめるときは、退屈やストレス、皮膚のトラブルが背景にあることもあり、少し気にかけたいサインです。顔をなめるのは基本的に微笑ましい行動ですが、なめ方の様子によっては、注意したいこともあります。
たとえば、飼い主だけでなく、自分の体(特に足や同じ場所)を執拗になめ続ける、という場合は、退屈やストレス、あるいは皮膚のかゆみ・痛みといった体のトラブルが背景にあることもあります。ストレスや不安から、なめる行動がくせのようになってしまうこともあるのです。「愛情表現の範囲を超えて、やめられない様子」が見られるとき、また、なめている場所が赤くなる・毛が薄くなるといったサインがあるときは、ドッグトレーナーや獣医師に相談してみましょう。
まとめ
犬が顔や口をなめてくるのは、愛情や親愛のあいさつ、子犬が母犬にねだった名残の要求、においや味への興味、うれしさ、そして相手や自分を落ち着かせるカーミングシグナルなどが理由で、多くは飼い主への信頼と親しみのあらわれです。ただし衛生面では、口内の菌が人に感染することもあるため、口や傷口・粘膜はなめさせず、とくに子どもや高齢者、免疫の弱い人は注意を。やめさせたいときは、叱らず反応しない・要求なめには応じすぎないのがコツです。そして、自分の体を執拗になめ続けるなど、やめられない様子や皮膚の異常があるときは、ストレスや皮膚トラブルのことも。愛犬の「大好き」を受け止めつつ、節度と健康の目線も持っておきましょう。
「犬 顔をなめる」についてのFAQ
Q. 犬が顔をなめてくるのは、愛情表現ですか?
A. 多くは愛情や親しみのあらわれです。とくに、帰宅した瞬間や、あなたが座ってリラックスしているときに集中してなめるなら、「会えてうれしい」「大好き」のサイン。一方、ごはんの前や、あなたが料理をしているときなどにしきりに口元をなめるなら、「ちょうだい」の要求のことも。同じ「なめる」でも、タイミングを見ると、どちらの気持ちなのか見分けやすくなります。
Q. 犬に顔をなめられるのは、衛生的に問題ないですか?
A. 神経質になる必要はありませんが、線引きは大切です。避けたいのは、口の中・傷口・目や鼻をなめさせること。ここは菌が体に入りやすい場所です。ほおや手の甲を軽くなめられる程度なら、あとで洗えば十分。ただし、赤ちゃんや小さな子ども、闘病中の方などがいるご家庭では、顔まわりはとくに控えめにしてもらいましょう。犬の歯みがきで口内を清潔に保っておくことも、地味に効く対策です。
Q. 顔をなめる犬を、叱ってやめさせてもいいですか?
A. 叱るのは避けましょう。犬にとっては「反応してもらえた」ことになり、逆効果になりがちです。実践的なのは、なめ始めた瞬間に、すっと立ち上がって部屋を移動する方法。「なめると、飼い主がいなくなってしまう(=楽しくない)」と伝わります。そして、なめていないときに自分から声をかけてなでてあげると、「静かにしていると、かまってもらえる」と学び、過剰ななめが減っていきます。
Q. 犬が自分の足や体をずっとなめているのも、同じ理由ですか?
A. これは、飼い主をなめるのとは分けて考えたい行動です。自分の足や体の一か所を、毛が湿るほど・長時間なめ続けるなら、皮膚のかゆみや痛み、あるいは退屈・不安が背景のことがあります。まず見てほしいのが、なめている場所。赤い・毛が薄い・じゅくじゅくしているなら皮膚トラブルのサインなので受診を。皮膚に異常がなく、留守番中など特定の場面で多いようなら、退屈しのぎや不安のことも。判断に迷えば、動画を撮って獣医師に見せてください。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。