犬の換毛期は、抜け毛がごっそり増える春と秋の年2回が目安です。とくに柴犬やコーギーのようなダブルコートの犬種で、下毛(アンダーコート)が一気に生え替わります。これは健康な犬の自然な現象なので、基本はこまめなブラッシングで乗り切れます。ただ、なかには病気による抜け毛もあり、その見分けが大切。ここでは、換毛期の時期と対象になる犬種、抜け毛対策、そして注意したい脱毛のサインまで見ていきましょう。
犬の換毛期がめぐる時期と季節の目安
換毛期は、気温の変化に合わせて被毛が生え替わる、いわば犬の「衣替え」です。時期の目安は、次のとおり。
- 春の換毛期…おおよそ3〜7月ごろ。冬毛が抜けて、夏に向けた涼しい毛に
- 秋の換毛期…おおよそ9〜11月ごろ。夏毛が抜けて、冬に備えた暖かい毛に
時期には個体差や地域差があり、はっきり決まっているわけではありません。とくに、一年中エアコンで室温が保たれた室内で暮らす犬は、季節を感じにくく、換毛の時期がずれたり、一年を通してだらだらと抜けたりすることもあります。「うちの子はいつも抜けている気がする」というのも、珍しいことではありません。
換毛期がある犬種・目立たない犬種
換毛期がはっきりある犬種と目立たない犬種の違いは、被毛の構造で決まります。実は、すべての犬に、はっきりした換毛期があるわけではありません。
上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)の二層構造を持つダブルコートの犬種は、換毛期にアンダーコートが大量に抜けます。柴犬、コーギー、ゴールデン・レトリバー、シベリアン・ハスキー、ポメラニアンなどが代表的。一方、下毛が少ない、または無いシングルコートの犬種(トイプードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなど)は、換毛期が目立ちにくく、抜け毛も比較的少なめです。愛犬がどちらのタイプかを知っておくと、抜け毛への心構えがしやすくなります。
換毛期の抜け毛対策とブラッシング
換毛期の抜け毛は止められませんが、上手にケアすれば、犬の快適さも部屋のきれいさも保てます。中心になるのは、やはりブラッシングです。
抜けかけた毛をためないよう、いつもよりこまめにブラッシングを。ダブルコートの子には、アンダーコートをかき出せるスリッカーブラシやコームが役立ちます。ときどきシャンプーで抜け毛を洗い流すのも効果的ですが、洗いすぎは皮膚の負担になるので、皮膚にやさしいものを適度に。回数の目安は犬のシャンプーの頻度とやり方もあわせてどうぞ。抜けた毛は空気中に舞いやすいので、こまめな掃除や空気清浄もあわせて。ブラッシングは、抜け毛対策になるだけでなく、皮膚の状態をチェックしたり、犬とのスキンシップになったりと、いいことづくめ。換毛期は、いつも以上に手をかけてあげる季節ととらえましょう。

換毛期のブラッシングは、正直ちょっと大変ですよね。でも、抜け毛はためないほど後がラク。テレビを見ながら1日5分でも、やる前とやった後で床に落ちる毛の量が全然違います。愛犬も気持ちよさそうにしてくれるので、スキンシップの時間だと思って楽しむのがおすすめです。
その抜け毛、換毛期?それとも病気?
換毛期の抜け毛と、病気による脱毛は様子が違い、次のポイントで見分けられます。抜け毛が増えると「病気では?」と心配になりますが、あわてず様子をチェックしましょう。
換毛期の抜け毛は、体全体からまんべんなく下毛がふわっと抜け、地肌が見えるほど薄くなることはなく、皮膚もきれいなままです。気をつけたいのは、これと様子が違う脱毛のほう。一部分だけごっそり抜ける・左右対称に薄くなる・地肌が見える、皮膚に赤みやフケ・かゆみがある、同じ場所をしきりに舐めている——こうしたサインがあるときは、皮膚病やアレルギー、ホルモンの病気(甲状腺機能低下症など。左右対称の脱毛でかゆみが少ないのが特徴とされます)、ストレスなどが背景にあることも。かゆみが強いときは犬が体をかゆがるのはなぜ?原因の見分けと受診の目安もご覧ください。とくに元気や食欲の低下を伴うときは、換毛期と決めつけず、動物病院に相談してください。判断に迷うときも、一度診てもらうと安心です。
まとめ
春と秋の年2回めぐってくる換毛期は、ダブルコートの犬種でアンダーコート(下毛)が大きく生え替わる、自然な衣替えです。時期の目安は春が3〜7月ごろ、秋が9〜11月ごろ。シングルコートの犬種は目立ちにくく、室内飼いでは時期がずれることも。対策の中心は、こまめなブラッシング(ダブルコートにはスリッカーやコーム)。適度なシャンプーやこまめな掃除もあわせると、犬も部屋も快適に保てます。大切なのは、正常な換毛と病気の脱毛を見分けること。体全体から均等に抜けるなら心配は少なめですが、部分的・左右対称の脱毛、地肌が見える、かゆみや赤み、元気食欲の低下を伴うときは受診を。抜け毛の季節は、ブラッシングを通して愛犬の体と触れ合う、いい機会にもなりますよ。
「犬 換毛期 抜け毛」についてのFAQ
Q. 犬の換毛期は、いつからいつまで続きますか?
A. 目安は、春(3〜7月ごろ)と秋(9〜11月ごろ)の年2回で、それぞれ数週間ほど続きます。ただし、はっきりした境目があるわけではなく、個体差や地域差も大きいもの。とくに一年中室温が一定の室内で暮らす子は、季節を感じにくく、換毛の時期がずれたり、年間を通じてだらだら抜けたりすることもあります。「いつも抜けている」と感じても、必ずしも異常ではありません。
Q. 抜け毛が少ない犬種はどれですか?
A. トイプードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなどのシングルコートの犬種は、下毛が少ないため換毛期が目立たず、抜け毛も比較的少なめです。反対に、柴犬やコーギー、ゴールデン・レトリバー、ハスキーなどのダブルコートの犬種は、換毛期にごっそり抜けます。ただし「抜け毛が少ない=ケア不要」ではなく、毛が伸び続けるぶん定期的なトリミングが必要な犬種も多い点は覚えておきましょう。
Q. 抜け毛を減らすには、どうすればいいですか?
A. いちばんは、こまめなブラッシングです。換毛期は毎日〜数日に1回を目安に、抜けかけた毛を早めに取り除くと、部屋に舞う毛をぐっと減らせます。ダブルコートの子には、下毛をかき出せるスリッカーブラシとコームの併用が便利。皮膚を傷つけないよう、力を入れず毛の流れに沿ってとかすのがコツです。加えて、月1回ほどのシャンプーで浮いた抜け毛を洗い流すのも効果的。抜け毛をゼロにはできないので、「ためない」ことを目標にしましょう。
Q. 換毛期にしては抜けすぎな気がします。病気でしょうか?
A. 換毛期の抜け毛は、体全体から均等に抜け、地肌は見えず皮膚もきれいなのが目安です。病気を疑いたいのは、円形や左右対称にハゲる、地肌が透けて見える、フケやかさぶた・強いかゆみがある、といったサインが出たとき。とくに左右対称の脱毛でかゆみが少ない場合は、ホルモンの病気(甲状腺機能低下症など)のことも。元気や食欲の低下を伴うなら、換毛期と決めつけず、早めに動物病院で診てもらってください。
本記事は、編集部や飼い主自身の経験・見聞きした情報をもとにまとめたものです。執筆者は獣医師ではありません。ペットの健康・病気・体調に関することは症状や個体差によって適切な対応が異なります。気になる症状がある場合や判断に迷うときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。